愚民社会 みんなのレビュー
- 大塚 英志, 宮台 真司
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紙の本愚民社会
2012/02/07 16:23
「日本はまだ始まっていない!」
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:hharu - この投稿者のレビュー一覧を見る
書籍の帯には、大きく「日本は既に終わっていた!」とあるわけだが、むしろ大塚氏が言う「日本の近代はまだ始まっていない」といった言葉をキャッチにした方が、ふさわしかった気がする。
本書の主題の一つは「日本は民主主義社会ではない」ということになるが、それはマスメディアなどがよく言う「政治に民意が反映されていない」とか「民意を問え」といった話では、もちろんない。何しろ、日本国民のことを宮台氏は「田子作」と呼び、大塚氏は「土人」と呼んでいるのだから、そのような「民意」を尊重すべきという話にはならないだろう。
民主主義論の一つに「熟議民主主義」というものがある。そこで重要とされるのは、「『ある意見を何人の人が賛成したか』ではなく、『その意見がいかなる根拠に基づいているか』である」だという(『語る—熟議/対話の政治学』風行社)。“愚民社会ではない社会”とは、一つには、“多数決に任せてしまうだけではない社会”と言えるのではないかと思う。
そのためには「田子作」であり「土人」である私たちはどうすればいいのだろうか。大塚氏は「知らねーよ」と答える。結局、ありきたりではあるけれども、誰かと時々は政治の話もしてみるとか、呟いてみるとかによって、少しずつ自分で考えていくしかないのだろうと思う。
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