山羊座の友人 みんなのレビュー
- 乙一(原作), ミヨカワ将(漫画)
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2019/11/06 22:42
感動強制起動が苦手な人は読まないほうが吉
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投稿者:休暇旅行 - この投稿者のレビュー一覧を見る
知人に薦められて読みました。
出来が悪いわけではありません。むしろ、システマチックに感動を喚起する製品としてはよくできている。
でもあくまでそのためだけに作られた作品なので、露骨なシステム性が好みでない読者はお呼びじゃありません。自分の嗜好を確認してから読まれたほうが無難かと思います。
【以下ネタバレあり】
大筋での展開は予想できてしまう部分もありますが、冒頭から舞台装置としてファンタジー要素が混入しており純粋な娯楽ミステリとしての意外性を期待する人はいないと思うので、問題ないでしょう。(原作の乙一さん、昔2冊読んだきりですが、そういえばこういう独特のリアリティラインで書く人だったなと思い出しました。)むしろ、舐めてかかって読んでいると丁寧で足をすくわれます。傘をめぐる伏線回収は個人的に感心しました。
ただ、娯楽的意外性じゃないとすると何が作品をひっぱっていくかというと、〈感動〉〈切なさ〉なわけです。で、〈切なさ〉を強制起動するためのシステマチックな構築が鼻につくタイプの読者にはあいません。
〈切なさ〉を加速させるためだけに、ろくに背景も付与せず三人も死なせる(いや教育実習生については死んだとは書いてないですが)。その三人がみんな女の子なあたりも手慣れているなぁと思います(冒頭の記事引用がなぜか男子ばかりなのはおそらくこのミスリード)。ほんで桜をまぶしてエンディング。こういうシステマチックな感動って、それこそ作中で批判されている、山羊を生け贄にして幸せになる手法そのものだと思うんですがどうでしょう?
もしかすると、物語展開に小説よりページを要する漫画という媒体の都合上、そのあたりの背景情報を削らざるを得なかったのかもしれません。だとしたら、小説を読むべきなのかも。
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