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SFのジャンルごとに有名作品をレビューする本。現代技術とSFが描く世界とを比較しており「教養」も提示しています。小説限定のため映画や漫画のレビューが無いのが惜しいところ。とはいえ読みたくなる表現はさすが。面白い本でした。
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本を読む時の参考にしている『基本読書』を書く著者の初書籍だから、面白くないわけがない。「地震・火山噴火」のチャプターが一番興味を惹かれた。「つながるリスト」と「SF沼の地図」は楽しい試みだし、全体的に安定の面白さだった。
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長いこと(10年くらい?)フォローしているブログ「基本読書」のブロガーである冬木糸一さんの初著作。
ブログをだいぶ追いかけていることもあって、文章や選書にもともと信頼しているので、本書も面白く読むことができた。
内容はほぼSF入門に最適な作品の紹介とそのブックレビュー。「これから何が起こるのか」を知るための教養、を手っ取り早く求めている人(そんな人いるのかは知らないが)にとっては、期待にそぐわない内容かもしれない。
私自身はSFマニアではなく少しだけ読んだことあるくらい(本書の紹介する53冊のうち9冊ほどを読んでいるくらい)だが、そのくらいだと「この本、書名は見たことあるけどこんな話なんだ、面白そう。」という感じで、次読みたい本が次々と提示されていくので、ちょうどよいかもしれない。
「これから何が起こるのか」を知るための教養 SF超入門
冬木 糸一 著
内容紹介
メタバース AI 不死・医療 ジェンダー 地震 感染症 気候変動……この1冊で、未来の全てがわかる!イーロン・マスクのバイアスにとらわれない思考を支える『銀河ヒッチハイクガイド』、最新の話題作『三体』など、古典から現代までベスト53冊を厳選した初のビジネスパーソン向け入門書。
目次
推薦の辞
はじめに 現実は、SF化した。そして10年後、何が起こるのか
p15 われわれのほとんどは(筆者も含めて)SFを読んだところでイーロン・マスクやジェフ・ベゾス、ラリー・ペイジのようになれるわけではない。しかし一方で、生活のあらゆる側面において否が応でもGAFAMを含む巨大企業経営者、パワープレイヤーたちの思想と行動の影響を受ける。SF作品は、彼らのいわば「聖典」であり、頭の中を除くための重要な材料となり得るのだ。我々一人一人がこの社会でサヴァイヴしていくために、彼らが想像する「世界」の一端を知ることは、とても重要になる。
Part1 最新の「テクノロジー」を知る
Chapter1 仮想世界・メタバース
p26 アメリカンフットボールのプロ選手が、練習中に自分の頭部に装着していた360度カメラの映像をVRで見返すというトレーニングを実践したところ、ビデオを観たり、図で描かれた戦術を何度も読み返したりといった従来の(練習場外での)トレーニングよりも、大きく成績が向上したのだという。*5
『ニューロマンサー』
── この作品がなければ映画『マトリックス』もなかった
『スノウ・クラッシュ』
── 最旬キーワード「メタバース」の源流
『セルフ・クラフト・ワールド』
── もし、現実よりも「仮想世界」が重要な場所になったら?
Wシリーズ
── 人間と非人間、生と死、仮想と現実の境界がゆらぐ
Chapter2 人工知能・ロボット
『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』
── 人間とアンドロイドの違いは何か? 人間とは何か?
『われはロボット』
── 人とロボットの「共存」のルール
『BEATLESS』
── 人類を超越したAIと、用済みになったヒトの信頼関係
Chapter3 不死・医療
『透明性』
── 人間の不死化技術を得た企業は、新世界の神となる?
p68 現在すでに、グーグルやアマゾンの研究開発費は200億ドルを超えており、そのうち15億ドル以上が不老不死研究に費やされていることが知られている。
p68 人々は、テクノロジーに頼れば何でも分かってしまうので、逆に自分自身ではもはや何も知ることができない。(中略)そのせいで、彼らはきちんと組み立てられた知識を持たず、かつて存在していたような緻密な文化的構築が不可能になっている。
『円弧』
── 不死が当たり前の世界で「死を受け入れるか、否定するのか」
『ハーモニー』
── 「不健康」が許されない息苦しさ
Chapter4 生物工学
『ジュラシック・パーク』
── 史上もっとも有名な「遺伝子工学SF」
『わたしを離さないで』
── 科学の発展と、無慈悲で、残酷な世界
『ブラッド・ミュージック』
── バイオ技術で内側から変わりゆく人体
『宇宙・肉体・悪魔 理性的精神の敵について』
── 1929年、驚くべき先見性で「人類の未来」を予測した名著
『フランケンシュタイン』
── SFの源流となったゴシック小説
Chapter5 宇宙開発
『宇宙へ』『火星へ』『無情の月』
── ありえたかもしれない「女性の宇宙開発史」
『七人のイヴ』
── 人類生存のヴィジョンが「異常な細かさ」で描かれる
『青い海の宇宙港』
── 宇宙との距離を縮めてくれる青春SF小説
Chapter6 軌道エレベーター
『楽園の泉』
── 宇宙エレベーターの存在を世に知らしめた一作
Part2 必ず起こる「災害」を知る
Chapter7 地震・火山噴火
『日本沈没』
── 大地震のたびに再注目される、地震SFの金字塔
『死都日本』
── 「地震は怖いけど、火山はそうでもないよね」は噓
『富士山噴火』
── 来るべき大災害に備える「実用書」でもある
Chapter8 感染症
『復活の日』
── パンデミックの時代に求められる「思考力」
p165 小松はあとがきの中で、本作について次のように語っている。
”核ミサイルの時代になって、「惑星的な危機」が現実の問題になったとき、われわれはもう一度世界と人間とその歴史に関する一切の問題を「地球という一惑星」の規模で考え直す必要に迫られていると思う。このために文学もまた、自己の専門領域に閉じこもってばかりおらず、なりふりかまわずほかの一切の領域について、自分なりの考察を広げる必要がある。”(p438)
『天冥の標Ⅱ 救世群』
── 感染症をめぐる「差別と怨恨」の終わらない連鎖
『新しい時代への歌』
── 10年以上、「リアルな接触」が激減した社会で生きるということ
Chapter9 気候変動
『蜜蜂』
── ハチの消滅がまさかの「世界の崩壊」を招く
『神の水』
── 「水不足」が命の奪い合いにつながる未来
『2084年報告書 地球温暖化の口述記録』
── 現役の地質学者による(現状を放置すれば訪れる)予言の書
Chapter10 戦争
『地球の平和』
── 際限のない軍拡競争の行き着く果て
『渚にて』
── 核戦争で滅びゆく「人類の最後の日々」
『戦闘妖精・雪風〈改〉』
── 戦うべき相手との「決死のコミュニケーション」
『スローターハウス5』
── むごい戦争体験をSFに昇華した「反戦小説」
Chapter11 宇宙災害(隕石の衝突、太陽フレア)
『神の鉄槌』
── 恐竜を絶滅させた「隕石」に、人類が科学で対峙する
『地球移動作戦』
── 地球をも動かしてみせる、科学の奇想
『赤いオーロラの街で』
── 10年以上「電気のない世界」で生きていく
Part3 「人間社会の末路」を知る
Chapter12 管理社会・未来の政治
『一九八四年』
── 「二足す二は四である」と言えなくなった世界
『すばらしい新世界』
── 私たちは自己という究極の「虚構」から逃げられない
『ザ・サークル』
── 市民が自発的に求める監視社会の危うさ
Chapter13 ジェンダー
『闇の左手』
── 性の規範から解き放たれた世界
『侍女の物語』
── 女性が「道具」として使役されるディストピア
『徴産制』
── 男が「出産する性」になったとき
Chapter14 マインド・アップロード
『ゼンデギ』
── コピーされた意識に人権はないのか?
『順列都市』
── 宇宙の終わりすら乗り越える「究極の不死」とは
『都市と星』
── 「閉鎖的な繁栄」はユートピアか、ディストピアか
Chapter15 時間
オックスフォード大学史学部シリーズ
── 現代人の目線で、過去の歴史を捉え直す
『キンドレッド』
── 過酷な黒人史を「体内に感じさせる」作品
『高い城の男』
── 「ありえたかもしれない歴史」を体験する
Chapter16 ファーストコンタクト
『三体』
── フェルミのパラドクスに対するひとつの回答
『ブラインドサイト』
── 知的生命に「意識」は果たして必要なのか?
『プロジェクト・ヘイル・メアリー』
── 「科学」で結びつく人類と地球外生命体
『幼年期の終わり』
── 人類は「個」を捨て「集合体」になる
Chapter17 地球外生命・宇宙生物学
『ソラリス』
── 「異質な他者」に、どう向き合うか
『時の子供たち』
── 他種族の目から見た人類の「異質さ」
『竜の卵』
── 時間の流れが異なる相手との非対称な友好関係
『銀河ヒッチハイク・ガイド』
── 宇宙の真理をもギャグにする傑作コメディ
『スターメイカー』
── 宇宙の創生から終局までを描く壮大なクロニクル
おわりに 「楽しさ」からすべては始まる
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<目次>
第1部 最新の「テクノロジー」を知る
第1章 仮想世界・メタバース
第2章 人工知能・ロボット
第3章 不死・医療
第4章 生命工学
第5章 宇宙開発
第6章 軌道エレベーター
第2部 必ず起こる「災害」を知る
第7章 地震・火山噴火
第8章 感染症
第9章 気候変動
第10章 戦争
第11章 宇宙災害(隕石の衝突・太陽フレア)
第3部 「人間社会の末路」を知る
第12章 管理社会・未来の政治
第13章 ジェンダー
第14章 マインド・アップロード
第15章 時間
第16章 ファーストコンタクト
第17章 地球外生命体・宇宙生物学
<内容>
単純に面白いSFを紹介する本ではなく、今起こっている様々な課題や科学の進歩を踏まえて、偉大なSF作家の思考の結果として、作品を読んでいこうというブックガイド。各章に3~5冊程度の作品が紹介される。どれも魅力的。また19世紀の終わりからこうした本があることにすごさを感じる。我々人類の知能も捨てたものではないな。著者は、ITエンジニアだが、本読みで有名。書評サイト「HONZ」にも顔を出している。
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どんな本が紹介されているのかな、と。
初心者向け、というのならあの本も掲載してほしいなあ、とか、こんな本があるんだなあ、とか楽しい。
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SF小説って今まであまり読んだことがなく、覚えてるのは劉慈欣の『三体』くらい。
東大VRセンター特任研究員である宮本道人先生からSF思考の大切さを教わり、とりあえず入門書ということでこの本を読みました。
著者である冬木糸一氏が読んで面白かったSF小説がジャンルごとに紹介されていて、SF読むとしたら何から読もうかなって考えてる人にはうってつけ。
私も読みたい本を何冊かピックアップしたのですが、宇宙好きの性格からか、宇宙ジャンルばかりでした笑
宮本道人先生からのおすすめでもあるグレッグ・イーガンの作品は真っ先に読みます。
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著者はSFを2,000冊!読んだ強者。その方がのめり込んだという56作が紹介されているのだから、どれも絶対面白いはず。既読本も多く紹介されており、私が珍しく他人に勧めまくった「地球移動作戦」と「プロジェクトぴあの」(作者山本弘はフィクションは現実より正しいと言い放った)は傑作とされており嬉しかった。30年以上前に読んだと思う「
銀河ヒッチハイク・ガイド 」はイーロン・マスク(最も嫌いなビジネス人の一人だが)が14歳で人生の意味や目的を完全に見失ったときに読んだ本でとりわけ影響を受けた本がこれだという。
しかし「ユートピア」が書かれた1516年には未来に関心を持つ人などおらず、未来の世界が現在と大きく違うものになるという発想自体が無かったという。なぜならそれまでの人間の生活は一生涯、世の中的に殆ど変化が無かったかららしい。従ってタイムトラベル物のSFは無かった。確かに物心ついてから死ぬまで世界が変わらないなら未来に関心は生まれないだろう。
現人類は何万年も前から脳など肉体的には変わっていないのに、科学文明はたかだかこの数百年で飛躍的に進歩した。私にはとても不思議だったのだが、この未来は変わるかもと思うようになったから、突然進歩発展できたのではないだろうか?
で、読まねばならない本はこの二冊。
・7人のイブ:人類生存のビジョンが異常な細かさで描かれる
・高い城の男:有り得たかもしれない歴史を体験する
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【妄想はどこまでも】
ガイドブックです。
これをたよりに本を選びます。
SFだけでなくアニメ、ゲーム、メタバースには無限の夢があります。
想像を超えた世界観!
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出版社や帯コメントの顔ぶれから何となく世間ではビジネス書として受容されている気がしているのだが、タイトル通り面白いSF作品を紹介してくれている一冊。そのラインナップを眺めて解説を読むだけでニヤニヤしてしまう。もちろん(?)本書のベースには「現実世界の近い未来を予測するために」という前提があるので単に「暇つぶしに面白いよ!」と紹介しているわけではないのだけど。往々にして世間を騒がすテクノロジーはSF作品の中で描かれており「現実があの作品に追い付いた」という感覚になった経験を持つSF好きは多いはず。ただ純粋に良質なSF作品を楽しみたい方も、そこから仕事やキャリアへのヒントを得たい方も、どちらにもオススメ。
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書評家、「HONZ]レピュアーの冬木糸一が選んだSF選。
見開きに「SF沼の地図」というのが折り込みであり、これがおもしろい。横軸に右がScience(Scientific)、左が(Speculative:思弁的)、縦軸が上にFiction(Light)、下に(Heavy)。
ScientificでHeavyなのが、「日本沈没」「楽園の泉」「われはロボット」など。ScientificでLightなのが「ジュラシックパーク」「神の鉄槌」「プロジェクト・ヘイル・メアリー」「三体」など。
SpeculativeでHeavyなのが「闇の左手」「高い城の男」「1984年」「わたしを離さないで」「侍女の物語」など。「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」はこの区域に入っているがやや中央のクロス線に近い。SpeculativeでLightなのが「銀河ヒッチハイクガイド」「新しい時代への歌」など。
副題が「これから何が起こるのか」を知るための教養、とあるように、目次では最新のテクノロジー、災害、人間社会の末路、に分けて56の作品をおおむね6ページで紹介。
最もSpeculativeでHeavyな場所にあるのが「闇の左手」(アーシュラ・K・グイン)。そのやや軽めなのが「高い城の男」(フィリップ・K・ディック」 まだ読んでいないのでぜひ読んでみたい。
著者は1989年生まれ。若い世代の感覚。
2023.2.28第1刷 図書館
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SF知識を深めたい方にオススメの本で楽しめました。
作者の冬木糸一さん(「終末」をバラバラにしたペンネーム)は2000冊SF小説をご覧になったそうで、それだけ読めば知識も深まりますし書籍化までして驚きました。
私は映画鑑賞が趣味なのですが元ネタ及び影響受けた作品は、これか〜と新しい発見がありました。
SFだけでも17分野に細かく分けているので、SF知識を深めたい方必見の一冊です!
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間違いなくこれからSF小説を読み始める方、必見のガイドブック。
ジャンル分けした上で、各作品のあらすじ、凄さを解説してくれるため非常に読みやすい!加えて、世情も反映した魅力も添えてくれるため、古典作品であっても違った魅力が見えてくるのが流石です。何冊か興味を惹かれたものもあったので、これを機に手に取ってみようと思います。
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この趣旨であれば映画・アニメもカバーしたほうが良い気もしつつ、SF小説のオールタイムベスト解説として例えば「ディストピアもので読んでいない名作を知りたい」などに有用。ただ、特に「プロジェクト・ヘイル・メアリー」あたりはジャンルがわかることが面白さ、でもある作品なので、序盤の地図をみて興味が湧いたら解説読まずに読んでみるのがオススメ
余談としては、最近のイーロンマスクの風評を想定していなかっただろうと思われ、数ヶ月先の未来さえどうなるのかわからなさを感じさせておもしろい
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超と言うだけあってとても詳しくまとめてあります。想像だけでなく、現実の可能性を追究しているので科学の勉強にもなります。どれも時間があったら読みたくなりました。
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2023-11-22
帯や「はじめに」で感じた「これってビジネス書?」という不安は杞憂でした。ちゃんとしたブックガイド。並べる切り口がビジネス書っぽいだけ。
33/56は読んでる。60%くらいかー