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やりなおし基礎英語 (ちくま新書)
やりなおし基礎英語
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紙の本
日経ビジネス2000/7/10
2000/10/26 00:23
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:野口 均 - この投稿者のレビュー一覧を見る
英文法は苦手だ。大事だからと言われ、SVC、SVOといった5文型は覚えたが意味が分からず、英語が嫌いになった。学校を出てからも、いろいろな教材に手を出したが、洞窟の中を懐中電灯も持たずに進むようなもので、三日坊主に終わった。
にもかかわらずインターネット時代の到来で、英語をやらなくちゃあという昔年の焦りがぶり返し、書店でふと本書を手に取ってしまった。
第1章、単語の意味。「時計を見たら3時になっていた」というのを英語に訳すのが難しい、とある。日本語では時計で済むが、英語ではclockかwatchか、決めないといけない…。
著者は、非常に簡単な例を出して、英語の単語が内包する意味の範囲と、日本語の単語の内包する意味の範囲が、必ずしも合致しないということを説明している。英語の教材でそういうところから始めていることと、説明の仕方に柔軟かつ緻密な論理性が感じられて、ひょっとしたらこれまでのものと違うかもと、思った。
勘は当たった。面白い。comeの本当の意味するところが、指定された場所もしくは話し手に向かって近づくこと、というのも初めて分かる。これで、「I’m coming.」への違和感が消えた。
第2章は代名詞。代表者としてのyouの話が面白い。目の前にいる特定のyouではなく、人一般を含んだyouで、取扱説明書などに出てくるyouがその典型だという。英語では主語がないと文章にならないので、youやtheyなどの代名詞が様々に使われる。
だが我々は、英語で使われているような主語を使っていないので、英語で何か言おうとすると、とっさに主語でつまずいてしまう。著者もそのことに触れ、日本語には動詞の形を支配する主語は存在せず、「何々ハ」で示される「何々」は主語ではなく「題」である、という言語学者の三上章氏の説を紹介している。
第3章は、センテンスの構造。ここが一番面白い。いきなり例のSVやSVOCではなく、一般動詞文とbe動詞文の説明から入っているのが新鮮だ。このあと第4章は動詞と助動詞だが、ともかく、面白くて最後まで一気に読めてしまった。
もちろん、これですぐ英語が上達するなどとは思わないが、明かりも持たずに洞窟に入るようだった英文法の勉強が、面白いに変わったのだから、大変な違いである。
これはひとえに、著者山崎紀美子氏のツボを押さえた説明が、英文法の暗闇を照らしてくれるからだ。たとえ対象がどんなものでも、的確に記述された文章は、面白く心地よい。
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