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紙の本
すべての失敗が同根であることが分かる。
2006/08/01 21:10
6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:GTO - この投稿者のレビュー一覧を見る
話題があちこちとんで少し散漫な感じであるが、現在もまだ日本型社会が内包する弱点を多く指摘してくれている。
著者も書いているように、戦争の研究をすることを即軍国主義に結び付けるのは間違いである。たとえば、泥棒は泥棒する者がいけないのは確かであっても、長期の外出時に家に施錠しない人はいないだろう。さらに、新手の泥棒がいると聞けば、対策を施すのは当然のことだ。襲うつもりはなくても襲われる可能性があれば護身術も必要である。その時や、その後では遅い。
最近でも、テポドン騒ぎがあった時に、日本の監視システムが充分でなく、迎撃ミサイル等も未配備であることに驚いた人も多いと思う。アメリカに頼ってばかりいないで、自前の防衛システムを早く構築すべきだと感じたのではないだろうか。さらに言えば、この著者だけでなく日本の情報収集と分析システムの脆弱さは多くの人が指摘していることで、外交だけを見てもそれが分かり、心配になる。冷戦が終結した今後は、タフで柔軟な外交が必要であり、硬直した単純な外交は一時的な愚衆の指示は得られても、国益に反する。
この本がきっかけになって日本でも軍事技術者や暗号解読、諜報活動に携わる優秀な若者が増えてほしいし、その待遇も改善されればよいのだがと思った。藤原正彦も言っているように、日本は数学的人材にはことかかないのだから。そして、二度と悲惨な戦争をしなくてすむために。
著者も「文章ではなかなか説明しにくいのだが」(p.217)と書いているように、言葉だけでは分かりにくいところがいくつかある。いくつか写真は掲載されているが、小さいうえに全景写真が多いので、兵器・武器の分かりやすいイラストをつけてほしかった。
紙の本
抽象論ではなく具体的で、いろいろ応用できそう
2003/06/01 17:59
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:萬寿生 - この投稿者のレビュー一覧を見る
太平洋戦争で日本がアメリカに負けたのは、たんに物量や生産量だけではなく、当時の軍人はもとより現在の日本人にもあてはまる、考え方の相違に原因がある、ということがよく解る。「現代に生
かせるの教訓」、「未来を見すえる太平洋戦争文化人類学」と副題がついている。自分自身の考え方の限界や、務めている会社の組織上の問題点にあてはまることが多く、身にしみて反省させられる。これまでほとんど取上げられてこなかった事項も多いように思われる。抽象論ではなく具体的で、いろいろ応用できそうだ。多くの人に読んでもらいたい。