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商品説明
日米関係の変化のなかで、日系アメリカ人は、自分と日本、そしてアメリカとの絆をどのように見てきたのか。彼らのおかれた状況・立場・意識の変化を通して、19世紀後半から最近までの日米関係を描き出す。両国の懸橋の歴史。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
飯野 正子
- 略歴
- 〈飯野正子〉1944年生まれ。シラキュース大学大学院歴史学科修士課程修了(MA取得)。津田塾大学教授。著書に「日系カナダ人の歴史」「エスニック・アメリカ」「日本の移民研究」などがある。
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紙の本
2000/5/7朝刊
2000/10/21 00:17
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投稿者:日本経済新聞 - この投稿者のレビュー一覧を見る
副題の「紛争と協調のなかの日系アメリカ人」が本書の内容を表している。十九世紀後半から最近までの日米関係を日系アメリカ人を主軸に据えて描く。外交史的な日米関係史とはひと味違う、草の根レベルの日米関係の最前線の記録である。
戦前の日米関係史で最も大きな出来事の一つは一九二四年のいわゆる排日移民法だろう。それが人種偏見に基づくものだったのは明らかだが、本書によれば、当時の日本の外交官たちは、後の排日運動の誘因とも見られるような日本人移民たちの状況を報告していた。経済面のみならず、道徳面でもすさんだ生活をしていた人々がたくさんそこにはいた。
第二次世界大戦中の収容所生活を経て日系アメリカ人たちは戦後、成功物語の主人公となり、「モデル・マイノリティ」と呼ばれるようになる。知的職業についている日系人の比率は全体の平均よりもかなり高い。しかしそれはそれで今も問題を含んでいるようであり、差別をめぐる問題に日系人たちは今でも敏感であるという。
米国は、多民族がとけ合うルツボではなく、それらが個性を発揮しながら全体としていい味を出すサラダボウルといわれる。各民族のなかで日系人ほど、母国と米国との関係の影響を受けた人たちはいない。彼らは日米関係の重要な要素だった。
日本から日米関係を考えるとき、日系人の要素はしばしば忘れられがちになる。だが、日系アメリカ人たちは今でも「日米関係の架け橋」である。本書はそれに光を当てた点で意味がある。
(C) 日本経済新聞社 1997-2000