紙の本
映画も面白いが原作も面白い
2001/11/06 17:13
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投稿者:Tuka - この投稿者のレビュー一覧を見る
元の邦題は『呪いのデュマ倶楽部』であったが、文庫化にあたって改題された。映画が面白かったので読んでみた。
2冊の本の調査、『三銃士』の線と『九つの扉』の線の絡み具合といい、メタ的な要素や三銃士のパロディといった作者の遊び心と思われる部分の仕掛けといい、技巧的な作品である。また、ある程度中世ヨーロッパの歴史や文学を知っていないと楽しめない衒学小説でもある。私的にイチオシの場面は、後半にある濡れ場の部分。描写に使われている比喩が面白い。
紙の本
映画の方は、どうなっているのだろう???
2002/01/04 10:30
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投稿者:FAT - この投稿者のレビュー一覧を見る
映画『ナインスゲート』の主演ジョニー・デップの精悍であると同時に少しおどろおどろしいショット(映画の予告編でも良く使われていたカット)が、本書の表紙。
良かったのか悪かったのか解らないが、観たいとは思いつつも、例の映画を見ていない状態で本書を手に取ってみた。率直な感想は、「想像していたものとは、少し違う」という所。当初は、映画の予告編の影響もあって、かなりオカルティックな作品を想像していたのだが、読後の印象は、どちらかというとスパイ小説風という感じ。
この作品は、二つの古書籍というか、書物愛好家が求める奇書「九つの扉」とデュマの「三銃士」の手書き原稿を巡る「謎解き」というか「駆け引き」の二つが、ストーリーの縦糸になっている。読み込みが足りないのか、どちらの「謎解き」の方も中途半端に終わっている感が否めず、消化不良感が残る一作だった。ただ、その一方で、無性に映像の『ナインスゲート』を見たくなってくる。やっぱり、表紙のデップの姿があまりに印象的なのであります。
ただ、本作の主人公コルソは、ジョニー・デップでは格好良すぎる気がするが…。感じとしては、必ずしも徹底的に冷静沈着とは言い切れず、結構行き当たりバッタリの所は、ウィングフィールドのフロスト警部に似ていなくもない。いわば、フロスト警部が教養を身につけてしまって、言葉使いが丁寧になっちゃったという感じなんだけど。
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主人公は稀覯本を専門とする古書ハンター。
ある日友人からデュマの『三銃士』の手稿が手に入ったから、真贋を調べてくれと依頼される。
同時に、大コレクターから『影の王国にいたる九つの扉』という超稀覯本の調査も依頼される。
これは悪魔を呼び出す方法が書いてあると言われ、作者は処刑され、焚書されたという世界に3冊しか現存しない本なのだ。
調査を始めるが、その彼を狙う存在が現れた。一見無関係だと思っていた二つの稀覯本だが、どうやら何かつながりがあるらしい……
というあらすじ。
ひたすら古書の話。
個人的には装丁師兄弟のエピソード萌え(笑)
9枚の版画がポイントでそれが3冊分挿入されていて、見比べるのが楽しい。
ちょっと『まやかしの風景画』(ピーター・ワトスン/ハヤカワ・ミステリエクスプレス)に似てるかな。
ラストがなんかよくわからなかったんだけど、とにかく古書趣味の世界にどっぷり浸れること請け合い。
ところで、『影の王国にいたる九つの扉』にぴんときた人もいるかも知れない。
これは映画『ナインストールゲート』の原作なのだ。映画ではデュマのことは全くカット。
悪魔崇拝をメインに持ってきたのね。
単行本は『呪いのデュマ倶楽部』なんだけど、文庫は『ナインスゲート』で出てる。
これ、絶対損してるよ。ノベライズだと思って読まないよな。
オススメ。
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映画を先に見てからこの原作を読みました。内容はすこし違うけど、ミステリアスなところはなかなかのもの。これを読んで「三銃士」も読みたくなったのです。
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映画はラストが「なんじゃこりゃ」なのだけど、この原作を読めば訳がわかります。それじゃダメなんだけど(笑)。
見られる映画の条件として、原作のプロットを全て消化しようとせず適度に取捨選択して完成度を高めるってのがあるように思います。『LAコンフィデンシャル』とか『指輪物語』とか、それなりに削ったからこそ見終わって腑に落ちるっていう感じ。原作を全て詰め込むのが良作って訳じゃないし。
その点、A.デュマの『三銃士』に関するプロットを全部削って、オカルトっぽい部分だけを拡大解釈した『ナインスゲート』はダークでオカルティックな雰囲気が出てて、主演ジョニー・デップっぽい不思議映画になってると思います。私は原作本の中世っぽい「図版」の謎解きが堪らん感じで大好き。不気味さや、どんでん返しも申し分ないです。
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久々に苦痛を味わう本を読んだ。
つまらん!
映画はあんなに面白いのに、何で原作がこんなにダメダメなんだ?
ふつう逆だろうに。
話がもたつきすぎ。
説明がクドい。
登場人物に魅力がない。
もしかして翻訳がマズいのか?
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ずいぶん前に読み終わったので、よく覚えていない。
とにかく、読むのが大変だった印象はある
(すぐ眠くなるので)。
薀蓄が多く、すごいことは、すごい本。
しかし読みにくいので、☆2つ。
解説でも言及されているが、「ダヴィンチ・コード」や
ウンベルト・エーコなどに通じる、オカルト薀蓄もの。
オカルト薀蓄はともかく、本の薀蓄はおもしろかった。
主人公は、地味に、ナポレオン・マニアだったか
(自宅に、ジオラマで戦場を再現する趣味人)。
映画では切られてたらしいが、デュマと三銃士も
テーマになっている
(いかに、国民作家デュマが無茶な奴だったか、とか)。
で、この三銃士が、ミステリーでいう所の、
「見立て殺人」的に、重要な要素を占めていて、
その一点で、この作品も、「ミステリー」と言ってしまっていい。
不可解な行動の数々が、1つの「理屈」に集約する、という
ミステリーの胆をおさえている(ホームズ的な)。
ラストは、オカルト肩すかしで幕(バッカじゃねーの、という)
視点が頻繁に入れ替わっていた気がするが、
なぜ入れ替わっていたのかは、忘れた。
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「三銃士」の直筆原稿をめぐるオカルティックなサスペンス。 とにかく全編通じて「三銃士」のオマージュ(パロディ?)が横溢。 地の文も会話も「三銃士」からの引用に溢れ、 ミレディーやロシュフォールそっくりに人物まで登場だ。 デュマ・フリークとして何より嬉しいのは、 全ての登場人物がデュマを賞賛していることだ。
でもミステリ的にはイマイチだよ ┐( -_-)┌ 奇書「九つの扉」とデュマとの結びつきが弱い。 それに文章も地の文が饒舌すぎて読みにくいの…。
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三銃士、ナポレンオンの事を知らないので読みずらい本だった。
映画を観ていたので完全にオカルト/ホラー小説かと思っていたが
ビブリオミステリー。
三銃士及びナポレオンを読んでから読み返してみたい。
コルソ=ジョニーデップはイメージに合っていると思う。
コルソを主人公にしたビブリオミステリーをもっと読みたい。
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どうも映画の方が印象が強くて、読んであいる間ジョニー・デップの
顔がちらついてしょうがなかった。
舞台はスペイン。富裕な愛書家相手に荒稼ぎするのが本書の主人公
である書物狩猟家のコルソ。
1666年にヴェネツィアの出版業者が世に出した奇書「影の王国への
九つの扉」の真贋鑑定の依頼が彼の元に舞い込む。
異端の書物を出版したとして火あぶりに処された出版業者は、その
刑に処させる前に「1冊しかない」と言っていた奇書が、何故か
3冊現存する。
一体どれが偽書なのか。そして、別ルートで依頼されたデュマの
『三銃士』の肉筆原稿の調査。
奇書と原稿、このふたつが絡み合ったミステリーなのだが、いかん
せん、デュマの『三銃士』を読んだのは遥か昔だし、ヨーロッパ
の古書についての知識がまったくないので少々苦戦した。
それでも謎解きてんこもりで面白く読めたのだが、ジョニー・デップの
顔がちらつくのと同様、ダルタニヤンの名前が出て来ると映画「仮面の
男」でダルタニアンを演じたガブリエル・バーンを思い出してしまった。
あぁ…映像に毒されているぞ、私は。汗。
しかし、稀覯本収集に情熱どころか人生さえも賭けた愛書家というか、
愛書狂の姿には背筋に寒いものが走るな。本書に描かれているある
愛書家は、稀覯本の為に何もかもを捧げているんだもの。
日本でも古書ミステリーはあるけれど、本書はキリスト教文化圏が舞台
なので悪魔崇拝も絡んで来て、古書ミステリーと言うよりはオカルト・
ミステリーなのかな。
主人公・コルソを守る謎の若い女性の存在は最後まで謎のまま。悪魔
を呼びだす奇書で、悪魔は呼びだせたのかなぁ。謎が全部解決して
いないんだよね、映画と同じで。
個人的にはジョン・ダニングの古書ミステリーの方が好きだな。
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スペインの稀覯本狩猟家コルソは、バロ・ボルハという富豪から、中世に出版された奇書『影の王国への九つの扉』の真贋鑑定を依頼される。その一方、友人ラ・ポンテが出版社オーナーのエンリケ・タイリェフェルから購入した『三銃士』第42章の肉筆原稿の調査も頼まれる。その後、オーナーは自殺し、コルソも何者かに襲われる。彼はポルトガル/シントラと、フランス/パリに飛び調査を進めるが、周囲で殺人が次々と!!悪魔を呼び出す呪文が描かれた奇書には恐るべき秘密が隠され、それが現実に…。映画化原作。オカルト・ミステリーの傑作。
とAmazonには書いてある(名前は書き加えた)。周囲で殺人が次々と!!とか書かれると途端に安っぽいが、確かに次々と起こるし、分かりやすい訴求力として粗筋に用いられるのはまあ仕方ない。だってこの話、結構面倒くさいのだ。
主人公はコルソだが、語り手はボリス・バルカンという文学者で、彼がラスボスなのかと思えばそうではない。タイリェフェルの未亡人はセオリー通りの悪女だが、利口なのかバカなのか分からない。あとタイリェフェルって名前発音しづらい(関係ない)。『影の王国への九つの扉』の真贋を巡って、コルソがあちこち飛び回るのや、先々で登場するキャラクター達は面白かった。書物修復のプロフェッショナルの双子や、過剰に詩的なファルガス、品は良くても棘は鋭いウンゲルン男爵夫人など、誰もが主人公を喰ってしまいかねない個性派揃い。中でもやはり好みなのが、イレーネ・アードラーこと『若い女』。長身細身でショートヘア、透き通るような緑の眼でブルーのダッフルコートにジーンズなんて、惹きつけられない訳がない。しかもクールで、おまけに足技最強。あまりの複雑さに投げ出してしまいたくなるこの長い話を、最後まで苦もなく読めたのには、彼女の存在もかなり大きい。むしろ彼女がいなかったらどうだったか分からないと言ってしまってもいい(いいのか)。
で肝心のストーリーの方だが、実は『影の王国への九つの扉』と『三銃士』第42章を巡っての話が同時進行する意味が良く分からなかった。勿論必然性も整合性もあるのだが、正直なところどちらかひとつでいいんじゃないかなと、自分の理解力を棚に上げて逆ギレ気味に思っていた。そしたら、逆ギレしたわけではないだろうが、映画の『ナインスゲート』がまさにそれで、『影の王国への九つの扉』だけに焦点を絞り、デュマのことなどかけらも出て来なかった。話も相当分かりやすくなっていて(なりすぎてるきらいはあるが)、原作での疑問が映画で理解できたところもあった。さすがに物足りないと感じるところはあるし、ポランスキーまた悪魔呼んでるよとも思ったが、雰囲気は最高だしジョニー・デップ素敵だった。またこういう役やればいいのに。だがしかし、『若い女』のキャスティングだけはどうにも解せん。衣装はまあいい、バイクに乗るのも良かった。クールな美人だし、鼻血も似合う(ここ重要)。19じゃないのも仕方ない。でも!でもですよ!ショートじゃないなんて!何の都合で?監督の好み?と思っていたらあにはからんや、ポランスキーの現妻らしい。ほんと若い女好きな。燃える城をバックにしたあのシーンは確かにロングの方が映えた���、もともと原作にはなかった場面だし、やっぱり嫁さん贔屓なのかも。映画のラストシーンは観念的。でもキリスト教圏なら納得するのかな。『三銃士』が入ってたらこうはならなかっただろうけど、もうこの際デュマ編も映像化したらいいと思うんだ。私が観たい。その時は『若い女』はエマ・ワトソン(ショートヘア)で頼む。
ところで『三銃士』って、正義感と忠誠心に溢れる若き銃士見習いとその友人達との心躍る冒険活劇だと思ってたらとんでもねえな。NHKも罪深いことよ。
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ううううーん、デュマの手稿の謎と悪魔の書の謎の2つが絡み合って…と面白かったのだけど、面白かっただけにオチがなぁ。
個人的には好みではなかったです。
ミレディとロシュフォールとの対決あたりが山場だったかも。
あとあの状態の人間に金、金ってくどすぎた。
そして映画版ではデュマのあたりバッサリだとか(笑。
えぇぇぇー。
画像でチラッと見た限りでは、双子のおじいちゃんずがかわいかったですけども。
あー、あと凄く気になったのが、二つとないような稀覯本を扱ってる割には煙草すぱすぱなんだなぁと。
稀覯本ハンターという職業は魅力的だったけど、本に対する姿勢は別の古書ミステリーの主人公の方が納得できますね。
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ジョニーデップの映画が良かったので原作を読んだ、訳者の文章が良くて読みやすかった、娯楽として普通に面白い
しかーし、映画とはエンディングが違いすぎるので映画のノベライズとして読むとがっかりすると思う、謎の女の出番が少なくてがっかり、映画では説明が不十分だった版画の説明が詳細で良かった、映画小説未読の方は読んでから見ることをお勧めします、小説も普通以上に面白い、映画も娯楽作品として良くできていると思います