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紙の本
キュートな日本論
2002/06/17 00:49
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:のらねこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
誤解を恐れずにいうならば、とてもキュートな本だと思う。「かわいい」と、いいかえてもいい。
タイトルのとおり、「エロティシズム」の日本固有性を検証した本なのだが、西洋の「エロティシズム」と比較し、江戸期に形成された〈もののあわれ〉という感情から出発し、古代から近・現代までの主として文学作品中の「エロティシズム」を縦糸に、「時間」、「死」、「近代天皇制」、「植民地」などの諸概念を横糸にして思索していく。
紙の本
日本とはこういうところだったのか!
2001/01/24 17:41
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ホセ・マッチョス - この投稿者のレビュー一覧を見る
人も動物もモノも理論も細菌もあらゆるものが移動する時代に、ふと立ち止まり自分が日本人であること、日本に生まれたことの意味を知りたいなあ、などとのどかなことを思った時に、私たちはいったい何を読めばいいのでしょうかねえ。一念発起して本屋さんに行ってみても「どうもしゃきっとしない本ばかりであるなあ〜」と思ったら、とりあえずこの本を読んでみましょう。
とにかくまず第一に、コスモポリタンなどというものを著者は信用していない。普遍的な人間などというものは存在しないのである。つまり「日本的特殊性」というものはある!というのが前提なのである。日本人とは何か? その中身を、エロティシズムをキーワードにし、広範な引用(源氏物語から村上春樹まで)をくり出しながらどんどん突き進んでいくのである。実にすがすがしい本である。
ちなみに「エロティシズム」とは、著者の言葉を拝借すると次のようになります。「エロティシズムは、性的本能を制御することによって凝縮された形で経験される根源的な時間感覚をその本質とする」。これだけではわかりにくいですねえ。もちろんバタイユも登場しますが、彼は軽く批判されながら、その他にも古今東西多くの有名人が登場するのがこの本の楽しいところです。
そして、エロティシズムや性的行為は時間の感覚と大きく関わり、その時間概念の特殊性なかに、日本的な時間感覚である「もののあわれ」という妙な感情が立ち現れる。その過程が描かれていきます。この「もののあわれ」の一体感は今でも「日本人」を強力に規定している、したがって「もののあわれ」とは日本人のイデオロギーとも呼べるものである、となるわけですが、そのあいだの推論の仕方が非常にスリリングで楽しめます。