アメリカドラマ・キャラクター完全ガイド

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者：挾本佳代　-　この投稿者のレビュー一覧を見る

　日本では深夜11時以降の時間帯に放送されることが多いアメリカドラマ。夜中ふとつけたテレビ番組がアメリカドラマで、以後そのおもしろさにすっかりハマってしまった人も少なくないだろう。

　けれど、そうしてめぐり会ったアメリカドラマにイライラしてしまうことがある。それは、自分が見ることのなかった以前のあらすじや登場人物の人間関係が全くわからないことだ。「この男性と女性は恋人関係なのか」。「この主人公にはどんな生い立ちがあったのか」。「この人はどんなトラウマを抱えているのか」——。ドラマにハマればハマるほど、尽きることのない疑問がふつふつと沸いてきてきてしまう。最近では、アメリカドラマごとに番組の公式ホームページが製作されていたり、ドラマに「すっかり取り憑かれてしまった」ファンの手によるホームページが多数Webサイト上に登場してはいる。けれど、どれもどこか痒いところに手が届いていないホームページだったりするのだ。

　この『アメリカドラマ・キャラクター完全ガイド』は、そんなイライラや疑問を解消する一役を買っている。登場人物のキャラクターや人間関係図も細かく作られており、これから始まる新シリーズを見ようと思っている人たちのいい手引き書になっている。取り上げられているドラマは、「アリー・マイ・ラブ」「ER」「ビバリーヒルズ高校白書/青春白書」の3本。いずれも数年前から日本で放送されている、人気の高いアメリカドラマだ。

　中でもハーバード卒の27歳の女性弁護士アリー・マクビールを主人公にした「アリー・マイ・ラブ」はいま一番ホットなドラマだ。アリー演じる女優のキャリスタ・フロックハートはそれまで決して華やかな経歴はなかったものの、初シーズンからアリー役でゴールデン・グローブ賞を受賞したり、エミー賞にもノミネートされたりしている。

　アリーは、カルバンクラインなどキャリア女性に人気のあるブランドファッションを着こなし、颯爽と法廷でつぎつぎに裁判を勝ち進んでいく。この本にはその裁判記録や裁判と同時並行で進展していくアリーの恋愛模様、各登場人物を演じる俳優の経歴もかいつまんでまとめられている。アリーが誰と何回キスしたのかまで図示されていたりするのだ。アリー人気の裏側で、キャリスタには拒食症疑惑や不倫疑惑をアメリカのマスコミに書き立てられるという不運も見舞ったが、そのことに関する彼女のインタビューも収録されているのもファン必見だろう。

　この本には、よく読むと、各ドラマの途中で降板した俳優側の理由などもこっそり書かれていたりする。映画俳優の方がテレビドラマ俳優よりも格付けが高い、というアメリカの業界常識なども教えてくれる一冊だ。　（bk1ブックナビゲーター：挾本佳代／法政大学兼任講師　2000.7.11）