「honto 本の通販ストア」サービス終了及び外部通販ストア連携開始のお知らせ
詳細はこちらをご確認ください。
このセットに含まれる商品
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
あわせて読みたい本
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
この著者・アーティストの他の商品
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
紙の本
蚕の美しさを伝える一冊
2000/07/11 12:46
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:宇野みれ - この投稿者のレビュー一覧を見る
立派な、モスラのような触覚、ふさふさと波打つシルクのような体毛。愛嬌のある顔の成蛾が糸が絡まる白い繭にしっかりつかまっている美しい写真が表紙を飾る。
蚕の繭から作る花、花まゆを習い始めた頃、先生に「みれさん、お蚕飼ってみん?」と言われ、「それだけはご勘弁を」と逃げていた私がお蚕さんを飼ってみたいと思うようになったのは、この岸田功の写真との出会いからだった。
私が最初にこの写真を見たのは、英語の子供向けの本、Silkworms (A Lerner Natural Science Book)だった。全編、岸田功の写真が使われていたのだ。
蚕を紹介する本は、卵、幼虫と順を追って蚕の生涯をたどるものが多い。うまれたばかりの毛子(けご)は黒くてとげがある毛虫で、はっきり言ってグロテスクだ。桑の葉に群がる蚕の大群は悪夢に見そうな光景でさえある。初めて見る蚕の写真がこれでは、蚕嫌いを作りかねない。
この本は表紙の美しい成蛾の写真で、まず読者(小学生向け)を惹き付け、本編も「カイコガの誕生」から始まる。繭の中で羽化する姿、繭を溶かして出てくる様子、繭を溶かす液のしずくをつけて頭を出したところ、と丁寧に美しい写真で追っていく。糸を吐く仕組みや様子の紹介も詳しい。
蚕の不思議な営みに目からウロコ、蚕に親しみを感じる一冊。文章も平易でわかりやすく、大人も楽しめる。