紙の本
タイトル買い
2017/05/31 14:38
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投稿者:アオジ - この投稿者のレビュー一覧を見る
噂に聞いていた、SFの名作。
ハーラン・エリスンの作品のタイトルは、ここに収録されているものも、そうでないものも、どれも魅力的だ。
読み終わったら、今度はバイオレンスに彩られた、ドライな世界に魅了された。
紙の本
スーパーバイオレンスに隠されたもの
2004/03/24 00:23
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:albrecht - この投稿者のレビュー一覧を見る
ここには、おもしろいものから、よくわからないもの、若いものから出来上がっちゃったものまで、幅広い作品が収められている。しかし、いくつかの作品からは共通する明確なテーマが読み取れる。それは、当時の政治システムへの怒りと、安定/停滞だけを目的とし規格外のものを排除する社会への批判である。そして、そんな鼻持ちならない世界を何とかしようと思うのだがどうあがいても何も変わらない、そんな焦燥感、絶望感が色濃くあらわれている。
この短編集のタイトルにも選ばれた『世界の中心で愛を叫んだけもの』では、規格に合わないものを排除し、刺激もなく生き延びることだけを目的とする社会を批判し、さらに自分たちの生活の安寧のためには他の世界の暮らしなど省みない社会を批判する(これはつまり、当時の代理戦争のことではないだろうか)。『眠れ、安らかに』では、世界から戦争をなくし、同時に人類の進歩をもなくした権力を葬り去り、ふたたび競争のある世界を取り戻す。『サンタ・クロース対スパイダー』は世界を混乱と無秩序に陥れる悪者として、当時の政治家たちを実名で批判する。『殺戮すべき多くの世界』では偽善と策謀にまみれた現代国家群を破壊し、「すべての世界が相互信頼のうちに結び合わされる」ことを夢見る。
エリスンはあまりに高い理想を持ってしまったがために、現実の社会が許せなかったに違いない。その怒りがスーパーバイオレンスとなってほとばしったのだ。
スーパーバイオレンス作家というレッテルが一人歩きしている感のあるエリスンだが、彼を駆り立てるものに注目すれば、この本の真の姿が見えてくるはずだ。そして、エリスンが矛先を向けた悪が現代でもまったく変わらずに生きつづけていることを知るだろう。
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iamamessage
2001/11/26 14:57
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投稿者:marilyn_hanson.com - この投稿者のレビュー一覧を見る
表題作を読んでラストに辿り着いたとき、映画「セブン」を見終わった時のような感覚を覚えた。同じテーマを語っているという事ではなく、ラストでそれまでの伏線、断片の全てが符合し、テーマが昇華されるという点で似ていると感じた。七つの大罪のうちの最後の一つが、本来正義である主人公の手によって果たされることで、全ての人間が逃れられない業を背負っている事を表現した「セブン」に対し、この作品では、凶悪殺人犯が、自分は世界中の人間を愛していると言い、その存在が最後に記念碑となることが何らかのテーマの具現化となっている。どちらも象徴的な作品。だが、この作品の意味するテーマは未だ理解し得ない。
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古典の名著。似たタイトルのベストセラー小説があるが、中身は似ても似つかず。っていうかこういう本こそ読むべきなのにー。
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タイトルをパクった本の方が流行っているようだが、もちろんこちらがオリジナルだ。内容も似ても似つかない。オリジナルの方が面白いと断言しておこう。(私は恋愛小説などには全く興味がない)
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何度読んでもわからなくて悔しい作品なのですが、この作品の暴力と愛と哀とどうしようもない衝動とかそういうのに浸れるだけである意味幸せなのかもしれない。
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ハーラン・エリスンの傑作短編集。山路光の人生を変えた一冊。表題作は読み飛ばしちゃっていいから、とりあえず「少年と犬」は読んどけ。
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ハーラン・エリスンがヒューゴー賞を受賞した短編集です。なにしろ名前が秀逸ですね
この暴力と進化に焦点をあてたSF小説群は実に面白かったです。特に最後に収録されている『少年と犬』なんてもう・・・暴力を描くエリスンの作品で涙ぐむとは思わなかったですね。ブラッド最高。
さて、表題作の『世界の中心で愛を叫んだけもの』ですが、観念的で実験的な作品です。その物語の意味するところはまだ掴めてません(汗)。なんとなく分かるんだけど、どうしてもけものとその友人の思考が途中でねじれているような気がして。いずれにしても、冒頭で大量殺人鬼が人々を愛するが故に大量虐殺を行ったと言っているように、ここでいう「愛」は恋愛の「愛」ではないことだけは確かですね。
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ハーラン・エリスンのSF短編集「世界の中心で愛を叫んだけもの」のなかでも私が好きな話は「サンタ・クロース対スパイダー」かもしれない。
これ読んでいて思った。
戦うサンタさんってかっこいい!
南極の巨大おもちゃ製造工場に多くの小人(?)たちと一年を過ごすサンタ。
サンタとして忙しいのはクリスマスの時期。
だけど、十二月以外の月は、暇をもてあましている。
こんなサンタ像は都合のいい巧妙な隠れ蓑である
ひとたび指令が下れば、ハイテク武器に身を固め世の悪と戦う正義のサンタになるのだ。
そしてあの赤い服にはありとあらゆるガジェットが詰まっている。
太って見えるが、あれは服の裏側にありとあらゆる武器防具を隠し持っているからに違いない。
あの赤い服のなかには、鍛え抜かれた肉体があるんだろう。
サンタさん最強。
戦うサンタ・クロース万歳!
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セカチューの題名はここからきているそうですよ。内容は、、、コレ読むこと勧めます。難解だと思えばえらく難解。もしかして、そうではないのかも?
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初読で感じたのは嫌悪感。
暴力と悪の世界。
だけどその底には希望がある。
何度も繰り返し読んで、噛み締めるべき一冊。
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一時期、まるで聖書かなんかみたいにどこに行くにも持ち歩いていました。
そんな泣ける話が入っているわけでもないのに、読んでボロボロ泣いたりもしたなぁ。
そんなわけで異様に思い入れのある一冊です。
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これも去年の今頃読んだSFもの。
エヴァンゲリオンのアニメの最終回の副題が
『世界の中心で愛を叫んだけもの』だった気が
したから、どんなものかと思って
読んでみました。
表題作など、短編がたくさん載ってます。
基本、近未来と暴力と暴力が中心です。
他の短編はみんな話の意図がつかめるんだけど、
表題作がどうしても難解すぎてよくわからない。。。
文庫版の裏に、「少年と犬との温かなやりとりを描いた〜」
って最後の短編の紹介があるのだけど、
中身がちっともハートウォーミングではないところが
いっそ笑えました。
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思考跳躍的SF短編集。
狂気と愛の流出を排出として描いた表題作。
完全な平和=自己愛の循環でのみ可能でという結論。
暴力と優しさが混在する世界への愛着を感じる。
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15編からなるSF短編集
裏表紙にウルトラ・ヴァイオレンスの世界とあるように、暴力や狂気といったものの存在を強く感じさせる作品が多い。
表題作の「世界の中心で愛を叫んだけもの」は15頁しかないが、一読では理解の難しい作品。
私なりに解釈すれば、時空を越えた交叉時点(クロスホエン)から狂気と愛が「排出」され、そのため世界の中心たるクロスホエンは平穏であるが外世界に影響を与えることとなった。
それゆえにに我々は狂気とともに暮らしているし、しばしばそれを愛の名において実行する。といったところ
作中では大量殺戮を行ったスタログが死刑宣告の際にこう叫んでいる「おれは世界中のみんなを愛してる。ほんとうだ、神様に誓ってもいい。おれはみんなを愛してる、おまえたちみんなを!」と
あくまで風刺とするなら、クロスホエンの人々は自分たちの平穏のために外を犠牲にすることを厭わない状況を、またスタログの行為は正義のために狂気的な行いがされることを皮肉ってるのではないかと感じた。
ただ、作品自体がひどく曖昧に書かれているので、作者は深読みする読者に対して引っかき回してやったぜと、ほくそ笑んでるかもしれませんし、私が読み解けてなくて見当外れのことを言ってるかもしれません。それだけ解釈も分かれそうだと思う作品でもありました。