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紙の本
コーヒーはブラックで
2003/02/01 13:41
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:成瀬 洋一郎 - この投稿者のレビュー一覧を見る
第二次大戦の通商破壊戦に興味がある、あるいは駆逐艦という艦種が好き、もしくは極限状態における等身大の人間ドラマが読みたいという者は本書を手に取るべきだ。作者はセシル・スコット・フォレスター。ホーンブロワー・シリーズで有名な海洋冒険小説作家だ。
話そのものは単純だ。大きな戦いが描かれているわけでもない。クラウス中佐が率いる数隻の艦隊が輸送船団を護衛して、イギリスまで航海するほんの数日の物語だ。けれどもクラウス中佐の視点でじっくり描かれている文章を読み進むうちに、まるで自分自身が<キーリング>の艦橋に立っているような気にさせられてしまう。
傍受されるUボートのものらしき無電、雷撃され沈む輸送船、護衛艦は数が足りない上に次第に燃料や爆雷が不足し始める。クラウス艦長は寝食を忘れ、座ることさえ忘れ指揮をとり続ける。艦長席の上にはいつのものか、食べかけのベーコンエッグの皿が置きっぱなしで冷たくなっている。トイレにも行きたいが、今艦橋を離れるわけにはいかない。レーダーは不調だ。直るのか? いったん分解しないといけない? トイレに行きたい…。
艦長がつかの間の休息をとる時間を見つけられると読者も思わず息をつき、当番兵が熱々のコーヒーを持って現れると自分も思わず一服したくなる。そしてまた夜が来る。読み進む手は止まらない……。
やはりフォレスターは上手い。面白い。ただし夜中に読んではダメだ。お腹が減ってくる。熱いコーヒーにベーコンエッグ、できればアイスクリームもつけたくなってくる。困った話だ。