紙の本
秘密の定理
2004/04/16 01:26
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:北祭 - この投稿者のレビュー一覧を見る
ここに一つの法則がある。
定理:
役人の数はなすべき仕事の軽量、時には有無にかかわらず、一定の割合で増加する
この定理は、長期の研究と厖大な資料から統計的に証明されるものであるという。まず差しあたって「全般的傾向の根拠となっている二つの素因」の解明から。すなわち、
(1)役人は部下を増やすことを望む。しかしながら、ライヴァルは望まない。
(2)役人は互いのために仕事をつくり合う。
ある人物をAとする。仮にAが更年期障害などによる精力の減退を感じたとする。Aは二人の部下CおよびDの助力を求めるのが普通である。同僚のBに助力を求めることはまずない。そうこうするうちに(これは必ずそうなるのだが)CもDも仕事の過重を訴えてくる。そこでCとDにもそれぞれ二人の助手をつけることになる。こうして前は一人でやっていた仕事を七人の人間でやることになる。これが(1)の素因が動いた結果である。
さてここで(2)の素因が動き出す。なんと七人の人間は互いに仕事をつくり合うのだ。一通の書類は彼らのあいだを次々にまわり、下書き、修正、改訂の改訂、果てはAによるメクラ判と相成る。Aは助手達の人間関係など新しく湧き出す問題に忙殺され、いよいよ仕事は過重となる−。
本書では、この定理を裏付ける統計が二例紹介されている。
まずはイギリス海軍省の統計である。
1914年 現役主力艦 62 海軍省人員 2000
1928年 現役主力艦 20 海軍省人員 3569(+78.45)
役人数の増加は、年平均 5.6%
次に、植民地省の統計が挙げられる。
1935年 人員 372
1954年 人員 1661
人員の増加は、年平均 5.89%
必要な仕事量には無関係なこの増加率の酷似はどうであろう。その増加率は「数式」によって表すことができるのだという。
ある一人の上役がお気に召した数人を現場から引き離して囲ってしまう現象を説明する上で、これほど使える法則はちょっと他にないのではなかろうか。
そこで自分も計算してみた。この春の人事による我が会社の役職の増加率は…
紙の本
改革?何を寝言をいってるんだね、小泉くん。
2001/09/07 11:30
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:REV - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、人間行動について書いたものである。
有名なもので「役人の数はなすべき仕事の軽重、時には有無にかかわらず、一定の割合で増加する」などを初めとする様々な人間行動の考察に満ちている。
20年前で人間、それもイギリスの人が書いた本が、2001年の日本に綺麗にあてはまってしまうのは、ここ20年で表面的なことしか変わってこなかったのだ、と同時に人間行動の動機付けたる社会の制度の強固さたる所以だろうか。
本書の背表紙には「本書の内容は、それを知るものが少なければ少ないほど、読者の高い価値をもたらす」とある。今、20年前の本書を読む人を知らない。つまり、これは、今が買い、ということである。
でも、もしたくさん読まれてしまったら、価値が下がってしまうのも悩みの種である。
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複雑さと重要性は、割り当てた時間の長さに比例する - 読んだものまとめブログ http://t.co/t1iXgBh via @sadadad54
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【MM034 mylibrary 2004/10/13】
本日ご紹介するのは
C.N.パーキンソン著 森永晴彦訳「パーキンソンの法則」(至誠堂選書2)です。
あらかじめ断っておきますが、決してパーキンソン病の本ではありません。念のため。
私がパーキンソンの法則というのを初めて聞いたのは、高校で世界史を習ったときでした。そのときは、「公務員の数は、仕事の量に関係なく増え続ける」というものでした(確か)。
そのときは、まさか自分が公務員になっているとは思っていなかったので、「公務員ってそんなもんなんだ」程度の感想を持ったような気がします。
そして時は流れ、実際の公務員となり、この部署に来て、いわゆるお役所仕事とは一体どういうものか、なぜこんなことが生まれるのかといったことを考えるようになったときにこの法則を思い出し、この本を急遽購入しました。
本文からの引用です。
「命ぜられた仕事を仕上げる場合、時間はいくらあっても余るということはない。この事実はすでに『ひまつぶしはいちばん忙しい仕事である』ということわざによってよく知られている」
「仕事(とくに事務のそれ)の時間に対する需用が、弾力的であることからして、事実上為さなければならない仕事の量とそれに割り当てらるべき人員数とのあいだにはほとんど関係がないといえる」
「実際は、仕事の量と役人の数との間には何の関係もないのであって、雇用されるものの数は、その仕事が増えようが減ろうが、あるいはまた全然なくなってしまおうが、そんなことにかかわりなく、ひたすら、以下にのべるパーキンソンの法則の支配のもとに増大するのである」
「しかし普通の読者が、おそらく最も興味を持つであろうと思われるのは、むしろこの法則の把えた全般的傾向の根拠となっている素因の解明であろう」
として、2つの原因を指摘しています。
(1)役人は部下を増やすことを望む。しかしながらライバルは望まない。
(2)役人は互いのために仕事をつくり合う。
事例として、第一次世界大戦後のイギリス海軍を調査した結果が紹介されています。
当時ワシントン条約により軍艦の総数が規制されていました。戦後62あった軍艦が20隻に減り(67%減)、海軍の仕官及び兵数が31%減になったにもかかわらず、技官及び技術的事務員が40%増、海軍省の人員が78%増になっていました。
もちろん時代の要請により背景はそれぞれ違うものだということを前提としていますが、このアンバランスは明らかにおかしいですね。
職場に人が少ないとお嘆きの場合(長期休暇などでやむを得ず休む場合は除いて)、この法則に陥っていないかチェックしないといけないかもしれませんね。
この本は、他にもいろいろ載っているのですが、第1章しか読めていません。
ちょっと古い本ですので、ちょっと読みにくいんですよね。
本書は、読了後ただちに、引出しにしまい、厳重に鍵をかけておかねければならない。間違っても、机の上に放り出し、部下や上役に盗み読みされてはならない。なんとなれば、本書の内容は、同��職場において、それを知るものが少なければ少ないほど、読者に高い価値をもたらすものだからである。しかしながら、英、米、仏、西独、その他世界の十数カ国においては、本書はベストセラーとなり、その内容がすでに全インテリの常識と化してしまったため、読者に対する有用性はいちじるしく低下した。官庁たると民間たるとを問わず、現代経営を貫く一般法則の発見者パーキンソン教授の業績を日本に紹介するにあたり、その誤らざる普及を希う所以である。
目次
まえがき
1 パーキンソンの法則―公務員は如何にしてふえるか―
2 民衆の意志―中間派の理論―
3 高度財政術―関心喪失点―
4 閣僚の定数―非能率の係数―
5 人選の原理―採用試験と求人広告―
6 非建設的建築―行政のしこり―
7 人物映写幕―カクテル・パーティーの公式―
8 劣嫉症(インジェリティティス)―組織病理学―
9 苦力(クーリー)百万長者の話―中国風成功法―
10 恩給点の解析―退職の潮時―
訳者あとがき
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人・組織の行動には一定の法則がある。本書は、これまでなされた膨大な研究から、その法則を抽出しまとめたものである。本書で提示される法則は以下。
1.パーキンソンの法則
公務員の人数はその仕事の量とは無関係に増大していく。
理由は、役人は部下を増やしたがりライバルを望まない、互いに仕事を作りあう、ためである。
http://unreconstructed.dtiblog.com/blog-entry-15.html
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1957年の本。訳書は1981年発刊。事務方は放っておくと雑草のように増える、か。(ーー;)辛辣だ。
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「ひまつぶしはいちばん忙しい仕事である」。ヒトは無駄な事に対し、いかに努力やコストを惜しまないかを、シニカルな語り口で終始一貫して述べています。海外では知名度の高い本ですね。
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組織論の話を期待して買ったのだけれど、論点がよくわからないまま読了してしまった。古い訳本は「コンサルタントの秘密」でイケてる本もあると思っていたのだけれど、こちらは期待はずれ。売り払ってしまいたいがいかんせん発行年が古いため、安く買い取られてしまいそうなのでとりあえず手元には置いておくが。
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1955年(英国『エコノミスト』誌 11月19日号)に発表した風刺コラムが税金に寄生する官僚の実態を見事に暴く。そしてステレオタイプ化された様相が笑いを誘う。巨大組織は官僚を必要とするが、官僚はどこの官僚も同じ表情をしている。
http://sessendo.blogspot.jp/2014/03/cn.html
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「議題の各項目に費やされる時間は、それぞれの項目の出費額に反比例する」とはなんとも皮肉の聞いた法則ではないか。たしかに、3万円の決済はなかなか下りないのに、3000万円だとさっさと決済してしまうデシジョン・メーカーもいるので、経験的にはこの法則は正しいと思うが、なんとかならないものか。他にも鋭い法則多々あり。面白い。
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エコノミストで紹介されており興味を持ったので読んでみました。役人の非効率な習性を皮肉を交えて明解に分析しており、また日本語訳の文体にユーモアを含んでおり、楽しく読めました。
絶版になってしまっていたので単行本を古本で買いました。昭和36年発行で定価が280円、翻訳者は大正生まれ。時代を感じる本でしたが、内容は今でも参考になる良本でした。
以下、印象に残った箇所です
役人は部下を増やすことを望むがライバルを好まない。
役人は仕事を2つに分けて部下AとBに振る。そうすることで自分だけ2つのパーツに精通しているただ1人の男になれる。
会議は5人が都合よいが次第に膨張していく。20人になると議論が進まない。すると会議を開く前に5人の重要なメンバーが集まって大体の決定をしてしまう。効率の良い会議体は5人まで。
内閣が非能率になっていく過程は万国共通。内閣の非能率の境目は20人。それを超えるとそこにいるだけの一員が生まれ、会議中に眠る一員が現れ、もはや最初の意味の内閣ではなくなっている。
委員会は植物のよう。育ち、花が咲き、種を撒き散らし、やがてその種からまた別の委員会が生える。やがてしおれ、枯れる。
オヒィスビルの建設はその機関の崩壊点で達成される。その機関の前進の時期には忙しくきちんとした本部を設ける余裕がない。後で仕事がなくなり余裕が出来た時に建設に着手し完成の頃に機関は衰退している。
パーティの重要人物の着く時間。彼らは始まる10分前なんかに着いたりしない。会の途中すでに相当数の人々が集まった頃に、そして他の重要人物が去ってしまう前の時間に着く。歓談中も同じ所に10分としてとどまらず他の重要人物と話して速やかに立ち去る。
なるほど。
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長年積んでいたのだが、ふと気になり読了した。
パーキンソンの法則はWikiによると、
第1法則
仕事の量は、完成のために与えられた時間をすべて満たすまで膨張する
第2法則
支出の額は、収入の額に達するまで膨張する
の2つの法則からなるとされる。
本書では10章立ててそれぞれのエピソードが記述されるが、要は組織なり規模の箱が充足するまで膨張していくような普遍的な心理が働くものを言っているものだ。
たしかに、何か空間上に隙間があると埋めたくなるのが人間の性というものだし、わからなくもない。
しかし、公務員の増加の件については非常に考えさせられた。やはり視点が何か新たなものを創出するような方向性でないと、何かの作業に対し役割分担などをしてしまい、その結果出せるアウトプットの総量に変化がないのに内部の人が増えるということになりかねない。
中で出てくる方程式などは、どう導出されたのかツッコミどころが満載ではあるが、一仮説という側面で捉えれば、解釈のしようもある。
やはりこうした罠に陥らないように定期的にエントロピーの均一化や散逸化などを企図することは大事なんだろうなと改めて感じた。
◆目次
まえがき
1 パーキンソンの法則 公務員は如何にしてふえるか /
2 民衆の意志 中間派の理論 /
3 高度財政術 関心喪失点 /
4 閣僚の定数 非能率の係数 /
5 人選の原理 採用試験と求人広告 /
6 非建設的建築 行政のしこり /
7 人物映写幕 カクテル・パーティーの公式 /
8 劣嫉症 組織病理学 /
9 苦力百万長者の話 中国風成功法 /
10 恩給点の解析 退職の潮時 /
訳者あとがき /
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森永晴彦訳の昭和36年版だったので、時代を感じた。ちなみに、表示定価は280円でした!
パーキンソンの法則(英: Parkinson’s law)は、1958年、英国の歴史学者・政治学者シリル・ノースコート・パーキンソンの著作『パーキンソンの法則:進歩の追求』、およびその中で提唱された法則である。
役人の数は、仕事の量とは無関係に増え続けるというもので、具体的には、
第1法則
仕事の量は、完成のために与えられた時間をすべて満たすまで膨張する
第2法則
支出の額は、収入の額に達するまで膨張する
の二つからなる。
第1法則について:
パーキンソンの法則は、英国の官僚制を幅広く観察した結果に基づくもので、たとえば、イギリス帝国が縮小していたにもかかわらず殖民地省の職員数は増加していたとパーキンソンは指摘している。このような結果は、
・役人はライバルではなく部下が増えることを望む
・役人は相互に仕事を作りあう
という2つの要因によってもたらされる。また、官僚制内部の総職員数は、なすべき仕事の量の増減に関係なく、毎年5-7%増加したとも指摘している。(ウィキペディア)
高給取りの日本の議員の数も増える一方です。
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イギリス人らしい皮肉が効いたエッセイ。パーキンソンの法則以外もかなり人口に膾炙され、建物が良くなると中身は悪くなるとか会社を見るときはトイレを見ろとか経営評論家のネタはここにあったとは初めて知った。
半分ジョークなのでどこまで真剣に受け取るかは難しいが、よく言われることとして知っておくことは重要。
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「一千万ポンドの議論と十ポンドの議論は大体同じくらいの時間ですむ」、「候補者が絞られる募集をする」、「左偏性と中央忌避性による左巻き現象」