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あァ、この本を知らない人は可哀想
2004/08/12 13:14
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投稿者:雨のち晴れが好き - この投稿者のレビュー一覧を見る
「あァ、この本を知らない人は可哀想」という一品です。
この本の素晴らしさ、奥の深さは1、2巻では分かりません。3巻辺りからゆったりとした大河の流れに気がつき、その全容が分かるにつれて、セシル・ボトカーのすごさ、いつしか忘れられない作者になります。日本では1981年に1、2巻が出ていますが、ほとんどブームになりませんでした。
評論社という出版社は『指輪物語』『大地の子エイラ』もそうですが、すごい本を引き当てますね。いずれ売れるだろうというノホホンとした社風、いまだにシリーズを作り続ける粘り強さがなければ、『シーラスシリーズ』は無かったでしょう。相変わらず書名すら一般には知られていませんが、宣伝下手のところも好きです。
産業革命より前をイメージするといいのかな。どこの世界にもあった貧しい社会です。13歳のシーラスは命がけの賭けで黒馬を手に入れます。馬は財産の象徴、欲望丸出しの大人があの手この手でシーラスから馬を騙し取ろうとします。悪い大人がいっぱい出てきます。セシル・ボドガーは大人の社会を描きたかったんですね。時代はいつでもよかったのでしょう。シーラスと対峙させることで、今までの児童文学にはない世界が広がります。はじめは冒険物語と思っていたんだけど、これ違いますよ。思春期に読んでもらうと力が湧いてくるいい本です。
両目のない少女、足の悪い親友、両性具有と次々と登場します。日本では嫌われる題材がふんだんに使われたって感じ。読んでからのお楽しみですが、これがどんでん返しの展開をして、読み手の人生観を変えてしまいます。そう言えば、この本には人殺しがないですね。「簡単に人を殺さないでくれ」というメッセージでしょうか、ゲーム感覚になってしまった現代っ子には読んで欲しいですね。
1巻はシリーズを通して重要な親友や兄とも親とも思える人との出会い。見逃せないスタートです。