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商品説明
世に棲む人びとのありようを、くっきりと、ユーモラスに寸描した名コラム随筆の決定版。大正・昭和初に新聞・雑誌に連載された全篇を収める。雅の詩人としての前身とは打って変わって、人間知の造詣を鮮やかな散文芸に籠めて、俗中の真を書きとどめた。(解説 : 向井 敏)【商品解説】
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紙の本
コラムのお手本
2011/01/13 00:27
6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ろこのすけ - この投稿者のレビュー一覧を見る
国内外の取って置きの話、歌舞伎役者のあれこれ、時事問題などを軽妙な切り口で書いたコラムのお手本のような文ばかり。さすがに薄田泣菫と平伏してしまった。こんな茶話なら何時間でも聞いていたいものだ。いや、読んでいたいものである。
ところでこの本、編集に谷沢永一が携わっている。下巻の解説には向井敏が執筆と絢爛である。谷沢永一が言うところのすぐれたコラムの一般論をここに引いてみよう。
ピリッと爽快な山椒の辛味、寸鉄の一言に託した批評精神の清潔な香気と、それぞれ独特な一ひねり二ひねりを、底に沈めた話術の芸。一瞬に読ませる短いスペースのなかへ、肝ごたえがあって長持ちのする内容をこめ、更にそのうえ、つい手をのばしてつぎつぎとつまみ食いしたくなるように、気安く小意気な雰囲気を盛り付ける工夫。モノ知りだけでコラムは書けない。コラムニストの必須条件は、このむつかしい人の世を、裏から横から斜めから、観察し続けてきたワケ知りのたくましい複眼である。
まさにすぐれたコラムについての至言である。