いま、危険な愛に目覚めて （集英社文庫）

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　うつし世は夢　夜のゆめこそまこと　　　江戸川乱歩
　最初に書かれている言葉が、これです。一番最初に取り上げられているのが、川端康成の「片腕」。　耽美小説集です。

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560
異次元の夢、異形の悪夢、そして美しすぎる「もうひとつの国」への扉とありうべき真世界への魔法の呪文をあなたに――。究極の愛と美の綾なす妖しくも華麗なる耽美小説の数々。
片腕・踊る一寸法師・侏儒・獣林寺妖変・前髪の惣三郎・会いたい・カイン・公衆便所の聖者・星殺し・日曜日には僕は行かない

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耽美小説集。ものすごくイイ！
オススメです！！
なんともそそられるタイトルですよね。
「危険な愛」ということで、異形の愛や同性愛、フェティシズムなどがてんこ盛り。

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宇能鴻一郎の『公衆便所の聖者』読了。都市伝説的なルポで非常に興味深かった。映画館の大の個室の仕切り版を穴が開いていて「ココカラ入レヨ」と書かれたものにすり替えて、その隣の個室で穴から挿し込まれるのをひたすら待っているおじさんがいた、と言う話。
小松左京『星殺し』が面白かった。未開の星を調査する、と言う設定で、SFなんだけど妙に泥臭いと言うか、科学者のストイックさより探求心が行き過ぎて生物として人間がエロいと言うか。危険な愛を描いた作品なので当然なんだが、ホモ臭さも匂い立つ感じ。

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耽美小説(つまり BL)アンソロジー。しかし、編者が栗本薫だというのだから、まともなアンソロジーになろうはずはない。作者だけ眺めてみても、川端康成、司馬遼太郎、筒井康隆、宇能鴻一郎(!)、小松左京とそれぞれのジャンルの極北を極めた綺羅が星の如く並ぶ。栗本薫の編者解説も力がこもっていて良い。

個人的な好みは、やはり圧倒的な世界観と際立つ異常さで康成の『片腕』。これは最近読んだ猫町の課題図書『眠れる美女』にも収録されていて再読だったが、このシュールさにはまったく慣れるということがない。次点は惑星に犯される人々の描写が鮮やかな小松左京の SF 『星殺し』と、新撰組の衆道を描いてしかも絶妙なミステリともなっている司馬遼太郎『前髪の惣三郎』か。ミステリ仕立てという意味では連城三紀彦『カイン』も佳作と思うが、前三作と比べるとやや劣る。宇能鴻一郎『公衆便所の聖者』も必読の一篇だが、この選の中に入るとこれですらインパクトに欠ける。栗本薫おそるべし。

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耽美小説アンソロジー
「片腕」川端康成
「踊る一寸法師」江戸川乱歩
「侏儒」栗本薫
「獣林寺妖変」赤江漠
「前髪の惣三郎」司馬遼太郎
「会いたい」筒井康隆
「カイン」連城三紀彦
「公衆便所の聖者」宇野鴻一郎
「星殺し」小松左京
「日曜日には僕は行かない」森茉莉

「前髪の惣三郎」と「カイン」が好き。司馬遼太郎は読みやすい。

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1985年第1刷、集英社の集英社文庫。10編。耽美小説のアンソロジー。耽美の書き手として著名な作者から意外な作者まである。実作者としては、一度はこのような耽美小説の範疇に入るような小説を世に出してみたくものなのかもしれない。栗本薫『侏儒』未発表作品を書き下ろしとして収録したものらしい。雰囲気としては江戸川乱歩の雰囲気。この作品は作家デビュー前に書かれた作品なのだろうか。これを読むとこの作者の他の耽美作品はだいぶ書き直されているのではないだろうか、と思わせる。

選者：栗本薫、収録作：『片腕』川端康成、『踊る一寸法師』江戸川乱歩、『侏儒』栗本薫、『獣林寺妖変』赤江瀑、『前髪の惣三郎』司馬遼太郎、『会いたい』筒井康隆、『カイン』連城三紀彦、『公衆便所の聖者』宇能鴻一郎、『星殺し』小松左京、『日曜日には僕は行かない』森茉莉、解説：「解説」栗本薫、