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紙の本
長崎に投下された原爆を語る良書ー初めて原爆に関する本を読む小学校中学年の子ども達にお勧めの一冊
2005/08/05 17:50
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:まざあぐうす - この投稿者のレビュー一覧を見る
主人公は岩永民夫、4年生。
本家のわきの納屋を手直しした家に母親と二人で住んでいる。
いとこの正也とは大の仲良しだが、民夫は本家へは上がれない。そして、家の周りで仲良く遊ぶこともできない。母親も自分の実家でありながら、本家の敷居をまたげない。民夫の母親がおじいさんの反対を押し切って、朝鮮の人と結婚して、おじいさんから勘当されているからだ。
民夫が3年生の時、父親がいなくなり、母親が身体をこわしたため、長崎の海辺の村へ戻ってきた。母親は、峠を越えて浦上にある軍の工場で働いている。
ある日、民夫は「タミオ、タミオ、聞こえるかね」と呼ぶ不思議な声を聞いた。最初は声しか聞こえなかったが、次にその声が聞こえた時には、板の間に竹の皮へのせたおにぎりが二つ置いてあった。声の主からの贈り物だった。「タミオ君、タミオ君」「キム(金)さんのむすこ・・・」と呼びかける。その声の主は、フランツと名乗った。
時は、第二次世界大戦末期。長崎にたった一人で住んでいた小人のフランツと小学生の民夫との出会いを通して、長崎に投下された原爆の恐ろしさを語る物語。民夫の父親や同級生の金本二郎(キム・ヨンジュン)君を通して、原爆の悲惨さと同時に朝鮮の人々に対する当時の日本の残酷な仕打ちを知らされる。
・「まったくおそろしいな、戦争ってやつは。子どもやとしよりを殺しちゃいけないと、国際法(国と国とのあいだでとりきめた法律やきまり)でもきめられているのに、むちゃくちゃなみな殺しだ。きょうのあのばくだんときたら・・・」(88ページより一部引用)
・「わたしらはね、もともとコボルトとよばれる小人のなかまだ。きみも知ってるとおり、小人は、にんげんの未来をいいあてることができた。長崎に、たいへんなことがおこるってことまでは・・・。だが、あのばくだんに、目に見えないおそろしいもの(じつは放射能)があるなんて、わたしにもわからなかったよ。戦争は終わったけれど、もっとすごい、にんげんが地球をまるごとほろぼしてしまう兵器を、きょうそうで作りいつづけるだろう。わたしらには、もう、にんげんの未来が、見えなくなった」(126ページより引用)
原爆の悲惨さが、小人のフランツの言葉に託して語られている。
現在絶版であるのが残念な一冊。長崎に投下された原爆を語る児童書の中で、『八月がくるたびに』と同著は、初めて原爆に関する本を読む小学校中学年の子ども達にお勧めの良書です。
「ほのぼの文庫」はこちらです。