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紙の本
永遠の集合論・一般位相空間論教本
2020/09/28 19:16
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Snark - この投稿者のレビュー一覧を見る
まだ読んでいない購入検討者諸君の中にも、「永遠の名著」とか、「最高の入門書」といった評価がこの本にあることを知っている人がいるかもしれない。これは読んだことのある人なら頷くところだ。実際に、業間の少なさ、読みやすさ、話題の選択の秀逸なところという観点で、この本を超えるものはそうそうない。更に、愛されっぷりが愛されっぷりなので、有志による詳細な解答などがネットに落ちているので、どんな読者にも適合する本である。
手を動かしながら勉強したい人もいるだろう。具体例はあまり豊富とも言い難いので、そういう人はこの本とともに演習書などを何か一冊持っておくといいかもしれない。
紙の本
私が数学の道を歩む際の指標になった本
2019/07/20 05:39
1人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:類太郎 - この投稿者のレビュー一覧を見る
古い本に時々あるドイツ文字と, それらに対応しているアルファベットの表があり, 他書を読むにも役に立つ. 全体にわたる詳細な説明の他にも, 他の本に書かれていないことは, いくつかある.
空集合は任意の集合の部分集合であることを, 論理学の根幹にあるふたつの基礎と対偶の原理を認めるなら「証明」可能であると明記している. そして納得のいく証明がある. この部分は(1+1/3)ページ分で済ませられている. しかし抜けは無い.
「{}⊆A」は論理学の立場から観ると「自明」(理論上明白)なのだが, 高校数学からの接続を図って書かれた大学数学の本には, 杉浦「解析入門1」の付録に本書より厳密かつ豊潤に書かれてあるくらいだろう.
(選択公理が必然的に必要で通読には必須ではないが)有限生成な群の極大な部分群の存在証明と線型空間の基底の存在証明をしている. これらを同じ本で知ることができるのは珍しいだろう. 線型代数の本で基底の存在証明には, (理論上)自明な選択公理が使われているが, 本書では無限次元の場合まで含めているのだ.
無限次元の線型空間に基底が存在することを保証するには, どうしても(自明でない)選択公理が必要になる. 選択公理を適用する具体例と有用性が, 両者により分かると思う. 他書では, 位相空間論において, 空でない位相空間の直積が空でないことなど, 位相空間の範囲で例示されている場合が多い.
ただし, あくまで「存在定理」は構成に何も言えない. 任意有限個の線型結合ではなく任意有限個の線型結合の極限(ノルム収束)の意味なら, 関数解析における(可分な)ヒルベルト空間に, 基底は三角関数あるいは多項式により構成されている. これは数理物理学からの要請による. 広く知られていないけれど, 可分なバナッハ空間にも(ノルム収束の)或る意味の基底は存在する. ノルムとバナッハ空間については本書にも説明がある.
R^nの点集合論による位相空間の前置き, 距離空間の前置き, それぞれが先々を見通しているだけではなく, 読者の理解の速さに配慮した形で語られている. 例には他書とは違い, 開基, 部分集合の特徴付け, 連続写像, 基本近傍系, などの事項もある. いきなり開集合系を与えることは最近では少なくなってきたようだが, 初版から50年を過ぎている今も読み継がれる常に好評な本書によると考えていいだろう. 距離空間の完備化などの証明を写されたことも多々ある.
読者に練習問題として任せた, 行間・事項・証明, などは, どれも何故か解いていて楽しい. 省略された内容は自ずと実力が高まる程度であり, 節末の問題には, 本文の拡充も今までの理解を確かめられる問も多い. 見たら直ぐに見当や方針が浮かぶ時も, 簡単ではない時も度々あるが, 自力で解ける時もよくある. そして何故か問題と向き合うと不思議に面白く感じる.
序文では高校生でも理解できるように説明したとある. 実際に私は高校生の時に読み始めたのだが, 難なく無理なく読み進められた. 順序対(順序付けられた組)の定義は感覚的で, 写像(対応)と同値関係の定義も感覚により述べてから「逆」として「定理」の形で述べられているが, 初学者には, そのほうが分かりやすいかもしれない.
前半の写像まで読み, そこから位相空間へ進むと早く読めると感じた. 必要なら位相空間の最小限を済ませてから, 解析学の主な舞台である距離空間へ進んで前の事項を参考にしながら読む方法も, 効率が良いかもしれない.
紙の本
数学最初の難関を一緒に乗り越えてくれる伴走者
2021/09/20 15:47
5人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:市井の数学愛好家 - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は集合・位相に関する独習書です。
本書を読むための前提条件は、精々イプシロン-デルタ論法に馴染んでいるという程度で、とても敷居が低いです。
ただし敷居が低い=集合・位相の習得が平易、というわけではありません。というのも、数学専攻で学ぶ数学は、高校数学や大学1年次の計算を主体とした微分積分、(線形代数という名の)行列代数とは質的に異なり、構造論としての色合いが顕著になっていきます。それは数学専攻で学ぶ数学が、集合・位相の言葉により語られることが大きな理由の一つになっています。従って集合・位相は、これまで経験した数学とは質的に異なるものを学ぶという点で、難しいとさえ言えます。
人によってはすんなりと質の違いを乗り越えて理解出来るかもしれません。しかしそうでない場合は、考え、手を動かし、時には休んで、定義や考え方が腹の底にストンと落ちるまで、とことん付き合う必要があります。
本書はそうした読者にとって頼もし伴走者になってくれるでしょう。