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紙の本
知的な発達障害を感覚の統合という側面からとらえ、改善をはかる道。
2007/02/04 11:38
10人中、10人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:hamushi - この投稿者のレビュー一覧を見る
知的な発達の遅れを持つ子どもの多くは、体のバランスが悪かったり、特定の皮膚刺激に対して耐性が弱かったり、よくころんだり、激しい回転運動をしても目の回る様子がないなど、さまざまな運動・感覚上の問題をも抱えていることが多いものです。
多くの親たちは、育児するなかでそのことに気づいていますが、そうしたことが知的な発達の遅れと深く関わっているということや、適切な療育によって運動・感覚上の不都合を改善することで、他の問題にも好影響を与える可能性があるということまでは知らない場合が多いだろうと思います。
本書では、学習障害や注意欠陥多動性障害など、発達上の困難さを持った子供たちの問題を、脳内での感覚統合という側面から具体的に解き明かし、運動や刺激による有効な治療法を示しています。
幼児期の息子を診てくださっていた児童心理の先生に、「この本を読んでいます」と話したところ、知的な発達の問題を抱える子の親にとって必読の一冊であると、強く推奨されました。
言葉が遅い、視線が合わない、落ち着かない、年齢相応のことがどうしても出来ない……そんな心配な状況が重なり、しかるべき機関に相談して「発達障害」の可能性があると言われると同時に、多くの母親は、混乱や精神的なプレッシャー、そしていわれのない罪悪感にさいなまれるのが実情であろうと思います。
そんなときにかけられる言葉の多くは、「まだ子どもが小さいのだから様子を見ましょう」「考えすぎでは?」という無責任ななぐさめだったり、「母親の愛情さえあれば問題ない(愛情が足りないから問題が起きる)」というような、根拠のない精神主義であったり、「とにかく声がけやかかわりあいを多くしてあげればよい」という、具体性を欠くアドバイスだったりします。
少しでも子どもの人生を守りたいと願う母親は、こうした言葉に翻弄され、見通しのもてない育児に疲弊し、孤独で辛い日々を送ることになります。私も、多動とパニックの収まらない息子の状態改善について公的機関の指導者に相談しては、「こういう子どもたちは誰からも愛される人に成長すれば、それでよいのだから」などと言われ、あ然としたものでした。
問題に直面した直後の親子にとって、本当に必要なのは、「発達障害」として具現化している脳の問題の本質であり、その改善に必要な。そして有効な治療教育の情報であるはずなのに、そうした発想で、障害児とその家族を早期からトータルでサポートするような公的な援助は無きに等しいのが日本の現状です。
本書は、子どもの状況を医学的根拠のある視点から客観的に観察し、状態改善のための建設的な療育の指針を持つという道があるのだということを教えてくれる、貴重な水先案内の書となってくれると思います。