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紙の本
肩の凝らないスターリン物
2009/01/12 23:32
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:APRICOT - この投稿者のレビュー一覧を見る
「チャイルド44」に「脱出記」と、スターリン時代のソ連の残酷さを背景にした本を続けて読んだため、ついでとばかりに長年積ん読にしていた本書を引っ張り出して読んだ。
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1953年、年老いて病に冒され、ますます狂気の色を濃くしたスターリンは、ついに第3次世界大戦につながる軍事作戦を発動させてしまう。作戦を中止させるため、ソ連内外の関係者がスターリン暗殺に立ち上がる。数奇な生い立ちを持つ若いMGB(KGBの前身)将校アレクサンドル・トレントンも、否応なしにその渦に巻き込まれていく。
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「チャイルド44」はすさまじい迫力に圧倒されるが、プロットはかなり荒削りなのに対し、本書はかなり洗練されている。前半はなかなか筋が見えて来ないきらいがあるが、スターリン暗殺に向けて話が動き出す後半は息詰まる迫力。特に、多数の登場人物のうち、誰がどのようにスターリン暗殺、あるいは暗殺阻止に関わって来るかが見えて来る過程は、ゾクゾクするほどおもしろかった。肩の凝らないスターリン物を楽しむのなら、「チャイルド44」よりも本書の方が適していると思う。
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訳者あとがきでも嘆かれているが、ヒトラー/ナチス物の娯楽小説はたくさんあるのに、スターリン物はほとんどない。もう少し出てくれるとうれしいと思う。