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- カテゴリ:一般
- 発行年月:1994.11
- 出版社: 小学館
- サイズ:20cm/283p
- 利用対象:一般
- ISBN:4-09-251008-X
紙の本
山椒魚戦争 (地球人ライブラリー)
著者 カレル・チャペック (著),小林 恭二 (訳),大森 望 (訳)
南海の秘境に高い知能をもった巨大な山椒魚がいた。労働力として酷使する人間との戦いがついに人間文明の危機を予見、ファシストの驚異を戯画化して描く、批評性とユーモアに満ちた不...
山椒魚戦争 (地球人ライブラリー)
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商品説明
南海の秘境に高い知能をもった巨大な山椒魚がいた。労働力として酷使する人間との戦いがついに人間文明の危機を予見、ファシストの驚異を戯画化して描く、批評性とユーモアに満ちた不朽のSF名作。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
カレル・チャペック
- 略歴
- 〈カレル・チャペック〉1890年生まれ。チェコ文学を代表する作家。劇作『R・U・R』で一躍有名になり、新造語「ロボット」は世界中に広まった。SF以外にも幅広いジャンルにわたる作品を残した。1938年没。
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紙の本
寓意
2001/10/03 19:42
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:猫 - この投稿者のレビュー一覧を見る
人類を脅かす、知性を持った山椒魚。それが何を表しているのか、いろいろと論議があるようだが、これは植民地主義を脅かす後進国の人々のことだろう。知性を身につけ、地位向上のために権利を主張する彼らの存在は、次第に人間たちを危機に追いやっていく。山椒魚は決して悪役ではないのだ。
紙の本
抄訳版ではありますが、今でも書店で見られるのは嬉しいかぎりです。
2005/08/05 19:58
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:kokusuda - この投稿者のレビュー一覧を見る
チェコの作家チャペック氏の残した数少ないSF小説の1つです。
既に古典的と言えそうな反ユートピア作品ですが、チェコとヨーロッパの歴史と
重ね合わせることで新たな視点が、、、。
作品の書かれた1936年頃のチェコは世界でも有数な工業国でしたが、
第2次大戦直前の緊迫した空気に包まれていました。
1933年にナチスがドイツ政権をとり、1938年に隣国チェコに「工業地帯をよこせ!」と
要求を突きつけるような時代です。
そして英国、フランス、イタリア、ドイツの4カ国でチェコを参加させない会議を行いチェコの分割が決定します。
工業地帯、資源、兵器生産施設を失ったチェコは、その後のドイツの侵略の前にひとたまりもありませんでした。
工業地帯、資源を増強したナチ・スドイツが軍備を急激に増強し、第2次大戦が激化していきます。
ちなみにピストルはチェコ語の「ピーシュタラ」が語源のようです。
「ドル」も「ロボット」などもチェコ語が語源です。**
チェコが国家として歴史に登場するのは9世紀の中頃。
ドイツやロシアなどと同じ頃です。
ボヘミアン・ガラスで有名なボヘミア王国は10世紀頃です。
その後、ハンガリーやオーストリアに支配されたり、チェコ語を使うことを禁止されたり、
上記のように国を勝手に分割されたり、旧ソ連から共産主義を
押しつけられたり波瀾の歴史をおくってきました。
文化や科学、工業などが進んだ国だったので狙われたのでしょうね。
ちなみに(ヲイ!)世界一発音が難しいのはチェコ語とか、
バドワイザーや犬の「ポチ」「ペス」などもチェコが語源とか、
遺伝で有名なメンデルさんや作曲家のドヴォルザークさんとか、
ヒッタイト語を解読した人や広島の原爆ドームの設計者もチェコ人だし、
電子レンジやコンタクトレンズ、角砂糖などもチェコの発明だし、
現在のタイプのビールもチェコからドイツに伝わったという説もあり、
当時の先進国の中でも一目置かれる存在だったのは確かです。
このようなチェコやヨーロッパの歴史を本作に重ねてみると、人間の都合であちこちに連れていかれ数を増やされて、
重労働をさせられる山椒魚たちは、大国に振り回されるチェコの人々のようにも感じます。
反面、非人間的であっても技能を持ち有能な山椒魚たちが反乱を起こし人間たちを追い詰めていく様子は
ナチスの所業を見るようです。
ユーモラスで魅力があり、どことなく恐ろしい本作は民族紛争が続く現代に再読し、
世界が、人間が滅びるのはどんなものか?改めて考えさせられます。
彼の作品でも有名な「ロボット-R.U.R」は小説ではなく戯曲ですし、
純文学や編集などでの仕事の方が主流の作家です。
この作品を発表した2年後に亡くなりました。
ナチスの所業やチェコの行く末は作品通りになりましたが、
作者としては当たっても嬉しくない予想だったのでしょうね、、、。