紙の本
ジュニア新書なれど,大人にも十分
2015/12/31 23:33
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投稿者:まさ - この投稿者のレビュー一覧を見る
わかりやすく,というと,適当に説明を省く本が多いけれど,池内先生の本は手抜きがない.
わかりやすい言葉を使っても,ここまで内容を省略しなくていいのかと,教える立場としても勉強になった.
紙の本
この本を入門書として更に読み進んで欲しい
2008/05/22 21:37
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:萬寿生 - この投稿者のレビュー一覧を見る
特別な感動はないが、青少年向けの入門書として良く書けていると思った。口語体であるからという理由ではなく、相当吟味して書いているのではないかと思われる。あとがきには、二週間足らずで一気に書いたとあるが。中学高学年から高校生を対象に想定しているのであろう。
科学の考え方、科学の成立した歴史、科学の得意なことと不得意なこと、現代科学の問題点と限界、ようやく手が付けられるようになった研究分野、技術を仲介としての科学と社会の関わり合い、について書かれている。著者自身が問題意識を持ち、常日頃から考察してきているのであろう。そのような背景があるから平易で分かりよいのであろう。
この本を入門書として、ポアンカレの「科学と仮説」、「科学と方法」、「科学と価値」や湯川秀樹の随筆など、またポパーやクーン等の科学哲学に関する著作も、読むようになってもらいたいものだ。
紙の本
人類を幸福にしたり不幸にしたりする術
2021/09/30 22:52
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投稿者:719h - この投稿者のレビュー一覧を見る
宇宙論を専攻する著者が
「二週間足らずで書き上げ」たという、
一般向けの科学啓蒙の書です。
科学の成り立ちと発展の足取りとを
ざっくりと解説したあと、巻末で触れている
「もんじゅ」の事故、薬害エイズ問題、
オウム騒動、そして地球環境問題こそが、
著者が力を込めて訴えたかったことなのだと
思った次第です。
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文系の人でも読んで欲しい、という著者の願いです。
わしは完全文系だけど全部読めたし科学は面白い分野なんだろうな、ということは伝わってきました。
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[ 内容 ]
“科学的に考える”とはどういうことだろうか。
一線で活躍する宇宙物理学者が研究の方法、最新のサイエンス・トピックを紹介し、オウム騒動や薬害エイズなどの事件を読み解きながら、私たちの社会と科学の関係について考え、転回の時代に理科を学ぶ意義を若い人たちに向けて熱く語る。
文科系の人も必読の本。
[ 目次 ]
1 私にとっての科学
2 科学の考え方
3 科学はどのように生まれたのか
4 現代の科学と科学者を考える
5 21世紀の科学と人間
6 未来を担う君たちへ
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)
[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]
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科学と社会のつながりを忘れないでほしい。
96年に出版された本だけど、今でも多くの人に読んでほしい。文系だから、とは言わず、科学的に考えることは、全員に必要だ。
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科学と技術の関係とその利用についての話が読んでいて印象に残った。
著者が物理学を専攻していたこともあり、物理の話が主軸となっているが、科学者を目指す者にとっては重要なことが書かれている。
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久しぶりに岩波ジュニア新書を読んでみた。やはり、岩波ジュニア新書は良書だ。決してジュニア向けだけではなく、大人が読んでも考えさせられる内容が満載だ。
★地球環境問題 解決のヒント
・「自然にやさし科学」を
・生体反応を利用した技術
・電気エネルギーからの脱却
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科学への「不信」や未来への「不安」を解消するための第一歩は、科学をもっと身近にすること。
科学の専門家にまかせてしまってはいけない。
市民一人一人が自らの頭で考えて意見を述べる必要がある。
これからの環境問題に向かい合うための解決のヒント→「自然にやさしい科学」「等身大の科学」(対象が等身大の大きさで身近な現象であり、多くの人々がさまざまな形で参加できる科学)
情報革命は、それを使う人間の知的レベルを上げなければ価値がない。
世界を広い視野で見、将来を深く洞察する能力が不可欠である。
私たちや自分の子供たちがすべき事を導いてくれています。
筆者の強いメッセージ性を感じます。
未来を明るくするために、科学の借金を子孫に押し付けないよう知的レベルを上げて様々なことを判断していきたいです。
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たしかに今まで環境問題の対応について原子時代に戻るべきだという意見があったが、それは不可能なことであり、大規模なことを小規模化して独自の生活を送ることが大事でまた、理系や文系の壁を越えて解決できるんだなぁと思った
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良書 科学と倫理の関係を、青少年に分かりやすく解説した書です。
阪神淡路大震災、オウム真理教、もんじゅ。科学そのものは万能ではなく、私たちが意外にもろい基盤の上に生きていることを、これらの事件がはっきり示していたからです。
科学の使い方を誤れば、人を平気で殺し、はては、人類を滅ぼしてしまいかねないことに人々は気がついています。
未来は「科学の知」にかかっている。
一つ一つの問題を、あらゆる角度から検討する必要があります。
気になったことは以下です。
・研究者には大まかに分けて、2通りのタイプがある。
「微分型」:問題の詳細を突き詰めて考え、すぐれたテクニックで解決していくタイプです。
「積分型」:問題をより広い観点から見渡して、進むべき方向や全体の整合性を考えるタイプです。
微分型は、虫の目、積分型は、鳥の目といえるかもしれません。
・自然科学には、2つの方法があります。
帰納的方法:現象や対象そのものに興味をもって観測・観察・実験しそこから共通性や規則性を発見していく方法
演繹的方法:基本的な原理や法則を推論し、具体的な現象や対象に適用してそれを理解する方法
・科学という仕事は、本質的に、「積み上げ」式だといえるでしょう。過去の研究者の成果をもとにして、それを深め、発展させていくわけです。
・科学の構造とは、現象⇒物質の運動⇒法則 でしょうか。
・科学である限り、どの分野でも考え方や攻め方は共通しています。科学は一定構造のをもっているのです。
・観察をより一歩進めたのが、観測です。自然が引き起こす現象を性質をくわしく見るだけでなく、「測る」、つまり何らかの尺度を用いて性質を数値に置き換えるのです。
・物質という実体にはたらきかけ、そこで発見された結果が、誰によっても実証ができるいう、科学の客観性を保証しているのが実験なのです。
・物理法則の構造 原理・仮説 ⇒ 法則 ⇒ 保存則
・科学の方法 実験
・一般にモデルには、2種類あって、
実在モデル:実際の現象を再現するよう物質を組み立てたもの
分析モデル:現象を理解しやすいよう法則を単純化したもの
・数学は科学のことば 物理法則は、すべて数学を用いて書かれています。数学は言語のように国ごとに変わることがありません。
・イギリス王立協会がはじめた重要なこととは、論文発表のルールを確立したことです。
・現代科学が不得手な問題 カオスとフラクタル
・いままで解けなかった非線形問題を、コンピュータを使って、数値的に解くことができるようになった。
・バタフライ効果 ほんのささいな空気の変化がいずれ、大変動をおこすこと
・フタクタル現象:物理量の間の関数が、ベキで表されること。複雑な相互作用の結果、大から小までさまざまなスケールの現象が混じっているので何が問題なのかがわかりにくい。
・奇妙なアトラクターという現象を通じて、カオス運動と、フ��クタル概念が結びついている。
・技術の方法の多様性:科学の原理や法則は1つでも、技術化の方法は複数あるというもの
つまり、技術は、その科学的な合理性だけでなく、社会との関係の中で選ばれるので、社会の変化に応じて技術の内容も変化するはず。しかし、長い目でみて正しいのかどうかを考える必要がある。
・科学は仮説にすぎない。科学にかかわることで「絶対」はないのです。私たちは、まだ自然現象の一部分しか理解しておらず、未知の部分があるかぎり、「絶対安全」などと、「絶対」に言えないはずです。
・科学は技術を通じて社会と、そして人間と強く結びついています。科学は使い方次第で、人を活かしも、殺しもできる恐ろしい力をもっているのです。
・現在生じてる環境問題などの地球上の矛盾は、結局科学の力で解決するしかないと考えており、真に科学の力を発揮するためには、科学者がしっかりした倫理を持つべきです。
・カオスやフラクタルなど、まだまだ解かれていない謎が周辺に溢れています。新しい手法で研究すべき身近な現象は多くあります。これを私は、「等身大の科学」と呼んでいます。
・技術の真の価値を利用するには、それを使う人間の技術レベルも上げなければなりません。そのためには、技術の内容を理解し、論理的な思考や全体のつながりを把握する力を持ってなければなりません。
・未来を担う君たちへ。科学の第一線でどのような研究が行われているのかを、やさしく書かれた本で読むのも楽しいと思います。科学に新しい風を吹き込み、転回の時代をよりいっそう大きく展開させるのは未来を担う君たちです。(結論)
目次
はじめに
1 私にとっての科学
2 科学の考え方
3 科学はどのように生まれたのか
4 現代の科学と科学者を考える
5 21世紀の科学と人間
6 未来を担う君たちへ
付録
あとがき
ISBN:9784005002726
出版社:岩波書店
判型:新書(岩波ジュニア新書 272)
ページ数:208ページ
定価:840円(本体)
発売日:2017年05月25日第31刷
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科学の考え方、方法にどのような特徴があるか。どのようにして生まれ、変化してきたか。科学の歴史をエジプトの太陽暦から振り返り、科学技術の進歩と社会の関係も言及されている。
著者自身が宇宙物理学の研究者ということもあり、取り上げるテーマは、例えば、3章で述べられているニュートン「万有引力の法則」コペルニクス「地動説」ガリレオ「望遠鏡」などである。
天文学に興味があり、入門書として最適。
また現代(2000年頃)の科学や科学教育についても随筆的に述べられていて、地球環境問題など、科学者を目指す方への金言が多い。
・科学の専門家に任せてしまっては、いけないのです。市民一人一人、自らの頭で意見を述べる、それによって専門家に見えてない側面が明らかになるのです。(はじめに 6ページ)
・本当に「科学」と呼べるか疑わしいのですが、必要なのは、決着がつく問題とつかない問題をきちんと見分けることです。(1章 29ページ)
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理科教員を志望しているときに、レポート課題として、この本に出会いました。
理科の教員として働いて16年。
職員室のデスクに置いて、今でもたまに読み返しています。