紙の本
生き方のモデル
2002/07/03 14:21
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投稿者:HRKN - この投稿者のレビュー一覧を見る
とあるテレビ番組に触発されて本書を手に取った。「職人」というものが日本人のある種のモデルになっている、という論旨に興味を持ったからだ。
永氏のキャラクターとルックスには、正直に話せば、私はいい印象を持っていない。突出した高い声質、おまけに早口。いつも纏っている青い衣装、そして刈り揃えられた髪。何を取っても胡散臭く感じてしまう。もっと突っ込んで書けば、嫌いだ。だが、本書における氏の仕事は評価せねばなるまい。ここまで含蓄に満ち、時に非常識でもある職人たちの多くの言葉。氏が自身の足で歩き、職人と打ち解ける過程なくしては、この量を収集するのは到底不可能であったろう。そして氏の言葉「職人とは生き方」、これには脳天を貫かれたような衝撃があった。
だが、本書の全体を覆うこの軽薄さは何だろう。軽すぎて、反感までも持ちそうになる。冒頭におかれた職人語録は面白く読んだのだが、グラデーション的に読む意欲をどんどん失っていく。最後に置かれたのは講演録なのだが、これを読んだ上であとがきを読めば、脱力すること必至である。洒落のつもりなのかも知れないし、氏の照れ隠しかも知れない。もしくは、奇を衒わず自然に生きる職人について、大真面目に語ることができなかったのかも知れない。にしてもだ、最後に裏切られたようで残念であった。
今は気分直しのため、冒頭を読み直しているところである。
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子供ん時、この本に出てきそうな職人さんが爺ちゃん家によく来て怒鳴りながら笑ってました。爺ちゃんも婆ちゃんも職人さんも、もうこの世にはいないけどもう一度会って怒鳴られたいです。今なら素直に話聞けそうだから。
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職人さん達の言葉を集めた本。
職人さん、今はどれだけいるもんなんだろうか。
おじいちゃんおばあちゃんの世代の人達ってみんな素敵だ。
近所で、しかってくれるうるさいジジイがいない今、この本を読んで、反省しようと思う。
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【2008/7/21】
かつて日本にいた職人の考え方を紹介する本。職人は仕事そのもので勝負する。だが作家ではない。現代では職人という階級が成り立たないと嘆く。
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▼ 100文字感想 ▼
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プロとはなにかを教えてくれる。日本人なら誰でも、あ
こがれカッコいいと感じる美学のようなものが職人には
あると思う。ものをつくる人の職人魂がとても大事な時
代。売れるから、儲かるからはちょっと違う気がするな。
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▼ 5つの共感ポイント ▼
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■感動するってことは、知らないことを知ることじゃない。
どこかで自分も知ったり考えていたことと、思わぬとこ
ろで出くわすと、ドキンとするんです
■奈良の正倉院はデザイナーがつくったわけじゃない。
あのときの職人の知恵でつくったわけ。そういうものは
残っていくんだろうねぇ
■値切るってのは品がないよ
高いと思ったら買わなきゃいいんだ
■百姓ってのは、百種類の作物をつくれる職人のこと
なんだってさ
■うなぎを焼くのは身を焦がさないようにタレを焦がす
のがコツです
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銀閣寺の庭は将軍が見ていたのと同じ庭です。と言い切れる職人技おそるべし。
職人と作家の違いとか、今回もサクッと読めるけど考えさせられること多し。
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他人と比較してはいけません。その人が持っている能力と、その人のやったことを比較しなくちゃいけません。そうすれば褒めることができます。
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[「何かに感動するってことは、知らないことを初めて知って感動するってもんじゃございませんねェ。
どこかで自分も知ってたり考えていたことと、思わぬところで出くわすと、ドキンとするんでさァね」]
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職人さんの言葉って、歴史に残る名言のような洗練された美しさはないけれど背筋が伸びるような、そして骨太な芯がある。「職業に貴賎はないとおもうけど、生き方には貴賎がありますねェ」とか、ね。
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「ゆっくり喰ってると口の中でウンコになっちゃうぞ」
「何かやりましょうかじゃねぇ。やる事めっけてさっさとやれ!」など、今や爺さんにも云われない職人語録がうじゃうじゃです。しかし、人を育てるっていう大切な事を気付かせます。
あまり大人に怒られなくなった大人へ。
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相当に腕のいい職人だったそうで、何年でもお客を平気で待たせたり、またお客ものんびり待っている、好き勝手に生きて祖母にさんざん苦労をかけて、ボケて死んだ後まで法事の度に大雨やらかんかん照り、と親戚たちに言われていた祖父。血は繋がっていないし、顔も知りませんが、まあエピソードにことかかない人なので話のネタに重宝させて頂いております。そんな人達が満載…というわけでもなく、もっとまっとうな職人の話がたくさん。みんなが職人だったら、世の中もっと自由でしょうね。
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職人と作家は違う、ってこと、初めて知った。
作家になると、その作品はもう伝統工芸にはならない。職人の作る商品には、無名性のさわやかさがある。そう述べられているのが印象的だった。
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職人さんの言葉には”真実”がある。
まさしくそれは、職業ではなく”生き方”だからなんだろう。
だから私は職人さんが好きなんだ。
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[ 内容 ]
「職業に貴賤はないと思うけど、生き方に貴賤がありますねェ」―モノをつくる職人さんたちだからこそ言える知恵に満ちた言葉の数々。
そして、対談・インタビュー、講演録などで構成する紙上バラエティ。
『大往生』『二度目の大往生』に続く、ご存じ永六輔ワールド第三弾。
著者いわく、「私はこれを一番書きたかった」。
[ 目次 ]
1 語る―「生き方には貴賤がありますねェ」
2 怒る・叱る―「怒ってなきゃダメだよ、年寄りは」
3 つきあう―「必要なものは高くても買うのが買物です」
4 訪ねる―「使い込んでこそ美しい」
5 受け継ぐ―「職人大学学生諸君!」
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[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]
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結局、職人とはどうあるべきかということは、自分自身で決めるものなんだと思いました。『職人よりも芸術家になりたがる人が多い』と書かれてますが、ある程度腕がついてきたら自分を表現したいと思う人が出てきても、僕は違和感は覚えません。昔も今も変わらない価値観だと思います。時代に沿って育てた職人は、時代が必要とする職人になるはずです。自分を磨いた上での自己満足が人を育てるってことでしょう。