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紙の本 |
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収録作品一覧
日本人とユダヤ人 | 11-208 | |
---|---|---|
日本人と中国人 | 209-340 | |
日本人とアメリカ人 | 341-452 |
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紙の本
巧みな構成にライブラリー編集部の著者に対する深い敬意と理解を感じた
2007/09/25 11:01
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:GAWA - この投稿者のレビュー一覧を見る
私が本書を入手したのはまったくの偶然だった。
何年か前に古本屋で安売りしていたのを見かけて「家にある「日本人とユダヤ人」(山本書店版)にはページが破けているところもあるから予備にしておこう」という程度の気持で買った。(「日本人とユダヤ人」・「日本人とアメリカ人」は単行本を既に持っていたので、新刊で発行された当初も本書には全く関心が無かった。)当然、「積読」状態で放置していた。
最近になって、祥伝社から出版された「日本人と中国人」の新書を見かけて、「そういえばそういうのもこの本に入っていたなあ」と思い出し、本書を手にした。
読んでみて驚いた。
表題こそ「日本人と中国人」であり、導入部や例え話に使われている話題は書かれた当時の時事ネタだった日中国交回復やその関連での日中戦争ではあるが、「『空気』の研究」や「現人神の創作者たち」といった山本七平氏の代表的な著作に通じる着眼点(の萌芽)が既にここに見られたからである。
さらに、江戸中期以降の尊皇思想の発展過程の概要(頼山陽や平田篤胤)が述べられており、「現人神の創作者たち」のあとがきで今後の課題として言及されていた「育成者」たちについての構想も既にここに示されている可能性がある。
イザヤ・ベンダサン活動中に、ベンダサン名で出版された著作は「日本人とユダヤ人」「日本教について」「日本教徒」「にっぽんの商人」の4冊で、「日本教徒」「にっぽんの商人」はライブラリー14に収録されている。「日本教について」はライブラリー未収録だが、山本氏存命中に単行本化されていなかった「日本人と中国人」を収録した意義は非常に大きいと思う。
また、田沼時代とその後について述べられた箇所(「江戸時代の列島改造論」の章)は、書かれた当時の「今太閤」田中角栄を念頭においての記述であろうと思われるが、 バブル崩壊後「構造改革」でいろいろ「ぶっ壊された」今日の状況と微妙に重なるところがあり、興味深かった。
ここで述べられている江戸時代の「中国」は、今日の「アメリカ」に該当するわけだが、そのアメリカについて山本氏がどう認識していたかということが具体的につづられているのが同じく本書に収録されている「日本人とアメリカ人」である。
初めて「日本人とアメリカ人」を読んだときは、司馬遼太郎氏の「アメリカ素描」と似たり寄ったりの印象批評的な紀行文といった程度の感想しかなかったが、「日本人と中国人」と併せて読むとまた違った印象が残る。
一言で言えば、日本の感覚では測れない全く別な基準でアメリカは動いているということである。
あたりまえといえばあたりまえな常識以前ともいえることではあるが、それゆえに却って忘れられがちな視点ではないかと思う。
「日本人とユダヤ人」というベストセラーにしてロングセラーをライブラリーに収録するに当たり、「日本人と中国人」「日本人とアメリカ人」を併せた構成としたライブラリー編集部の着眼に敬服した。