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踊るひと (講談社文庫)
踊るひと
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収録作品一覧
踊るひと | 7-42 | |
---|---|---|
立ち枯れる | 43-78 | |
くっつく | 79-120 |
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紙の本
気のいい古本屋のおじさんの人情噺と思ったら大間違い!
2000/07/18 21:56
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:mau - この投稿者のレビュー一覧を見る
実際この人、相当な食わせ者なのだ。
パッと見は高円寺で古本屋を営む、下町気質の人情味あふるる「良いおじさん」。出世作のエッセイ『漱石を売る』なんかは正にその通り!で、職人肌で思わず唸ってしまうくらいに小気味良いテンポの文章は、まったくもって正統派文筆業という印象が強い。
ところがどうしてどうして、小説を読んでみると、登場人物は相当倒錯しまくってるし、かなり淫靡な筋立ても絡めてくるし、「落ち」の突き放し加減と来たら、ホント読み終わった後でも薄気味悪くて背中がヒヤヒヤする。本当に良い人ならこんな終らせ方しませんってば(笑)。実際はエッセイも虚実入り乱れて盛り上げてあるらしくて、その辺の抜け目のなさが、またズルい。
最近の長編はややひねりすぎで、「落ち」がすとんと胸に収まらない気がしていたが、94年に出たこの短編集は、出久根節というべき変幻自在の文体と、なんとも不思議な「落ち」具合を堪能できる。達者な文章には、やはり惚れ惚れとさせられる。
ただ、本書の題名は旧題(『あなたのお耳に』)のままの方が良かったのではないだろうか。その点が、やや残念。