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商品説明
【直木賞(119(1998上半期))】私は四畳半のアパートで、モツを串に刺し続けた。向いの女は背中一面に迦陵頻伽の刺青があった。ある日、女は私の扉を開けた。尼ヶ崎、大阪天王寺、赤目四十八滝をさ迷う男と女の道行の果ては…。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
車谷 長吉
- 略歴
- 〈車谷長吉〉1945年兵庫県生まれ。慶応義塾大学独文科卒業。著書に三島由紀夫賞受賞作「塩壺の匙」などがある。
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紙の本
迫り来るもの
2001/02/15 02:26
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投稿者:あきら - この投稿者のレビュー一覧を見る
目を背けたい現実を抉るように描写しているにもかかわらず、不快さで途中で投げ出したりせずに一気に読了したのは、著者車谷の、筆で命を削るような真摯さが生み出す小説世界の力に圧倒されたからかもしれない。
題名から想像されるような、ロマンチックな恋愛ものや、メロドラマもどきではなく、血を吐くような現実、生の一回性。尼崎を舞台に日雇い労働者、刺青師とその情婦、彼の連れ子、屍肉を店の客に出し裏で麻薬の売買をする老婆、もう老齢である売春婦のいる現実に、流れ着いた元「いい大学を出たもの書き」の浮浪者。売春の連れ込み宿となっているアパートの腐臭と黴がたちこめる空の見えない一室で男は毎日病死した獣の肉をさばいていく。孤独な作業の毎日に望むと望まざるとに関わりなく侵入してくる他者の領域、匿名の他者の群の視線。男は最後に他者ともう一度関わり合おうとする。それが現在からの逃避という形であれ…。