紙の本
誰もが陥るであろう現代社会の闇。
2005/04/13 15:12
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:いくら - この投稿者のレビュー一覧を見る
ストーリー自体は、序盤は失踪者を地道に探すところから始まるので、派手さはないのですが、細かく場面転換をすることによって飽きさせない構成になっています。
また、環をはじめとするチームのメンバーについての描写が見事で、読み進めるうちにいつの間にか彼らのキャラクターが頭に入り込んできます。
それぞれ底知れぬ何かを持った雰囲気に興味を持たずにはいられませんでした。
全体を通じて感じられたテーマは「虚無感」でした。
中でも、原田とその娘のやりとりは、社会問題の一つである家族崩壊の核心を突いているように感じます。
誰もが陥るであろう現代社会の闇を感じ、ふと自分の胸に問いかけている自分がいました。
あなたは、ふといなくなりたいと思ったことはありませんか?
紙の本
知的な裏稼業
2001/11/04 18:42
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:YASU - この投稿者のレビュー一覧を見る
探偵業を営む原田・肉体労働者の倉持・托鉢僧の武藤は、皆それぞれの事情で警察を去らざるを得なかった者達である。普段は表の稼業に勤しみ、いざ警視庁の意向を背負い警務部人事二課に属する環から指令が入れば裏稼業へ。警察が表立って捜査することが出来ない事件を調査、罪をあばく秘密組織のメンバーである。捜査に関わるかどうかはあくまで本人の意思に委ねられ、メンバー間にもそれ程親密感といったものもないが、一度集結すればその連携プレーは彼等個々の特性を生かしスムーズに進む。
「必殺」の大ファンだという作者が生み出したこのシリーズ、環をはじめとするメンバー達も時には苦悩しながら事件にあたるその姿勢もなかなかかっこいい。切れ味は抜群だが底が知れず捉え所のない環、穏やかな原田、不遜なほど陽気な倉持、反対にひどく無口で無愛想な武藤と個性ある面々が勢揃いだ。
症候群シリーズの一作目であるこの『失踪症候群』では、原田が中心のストーリーである。一見取り立てて事件性はないものの、若者の失踪が相次ぐ事件に関してのファイルを刑事部長から見せられた環は、背後にあるものを引きずり出すべく捜査を引き受ける。メンバー中唯一家族持ちの原田であるが、彼の表稼業に対する娘の反発に悩みながらも、仲間のさりげない気遣いに助けられながら悪の根元を突き止めるべく進んでいく姿は、真摯に頑張るお父さんのハードボイルド的な要素も合わせ持ち好感が持てる。
彼等の役目は事件の黒幕を引きずり出すまでで、最終的には警察の手に委ねられることになるのでそれ程の血生臭さはない。どちらかと言えば、知的ゲームっぽい作りのストーリーでその点では気持ちよくスッキリと読める作品である。
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かなりさくっと読了。表紙の装丁や活字の小ささから感じていた重たさはなく、軽かったのが意外でした。
ストーリーそのもの、扱われる事件そのものは、そんなに複雑でも奇抜でもありません。その辺、物足りない人は物足りないかもしれない。原田という人物を介して≪ゼック≫と≪おにぎり≫が繋がっていくあたりの偶然性はあまりにもお手軽だし。それでも環や倉持、武藤という人物は、ハードボイルドな雰囲気を十分に纏っていて魅力的だし、最近の小説にありがちな会話文中心な構成や女性性みたいなものが排された、ある種の堅さと、淡々とした読み口には好感がもてました。表紙の装丁をいい意味裏切らない雰囲気がとても嬉しい。
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読み終わった後に なんだか 妙な脱力感がある
決して嫌だとか 不愉快だとか そういうのではなく
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貫井さんの長編を読むのはこれが初めてでした。
先にシリーズの2作目である『誘拐症候群』に興味を持ち、せっかくだから順番通り読もうと思ったわけですが、失踪症候群も面白かったです。
ストーリー自体は、序盤は失踪者を地道に探すところから始まるので、派手さはないのですが、細かく場面転換をすることによって飽きさせない構成になっています。
また、環をはじめとするチームのメンバーについての描写が見事で、読み進めるうちにいつの間にか彼らのキャラクターが頭に入り込んできます。
それぞれ底知れぬ何かを持った雰囲気に興味を持たずにはいられませんでした。
全体を通じて感じられたテーマは「虚無感」でした。
中でも、原田とその娘のやりとりは、社会問題の一つである家族崩壊の核心を突いているように感じます。
誰もが陥るであろう現代社会の闇を感じ、ふと自分の胸に問いかけている自分がいました。
あなたは、ふといなくなりたいと思ったことはありませんか?
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症候群シリーズ第一弾です。
友人の友人が昨今失踪したので(発見済)ちょっとリンクしてしまいました。ありそうなことだな・・・と思いました。
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症候群三部作の一作目。まぁまぁおもしろかった。でもシリーズは続くからこれを読んでから残りを読むといい。
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症候群3部作の第1弾。岡嶋二人の捜査ゼロ課に似てるなと思ったら、貫井本人が「それを意識して作った」と言っていましたね。一見関係ない小さな事件がリンクしていいく様子、それに主人降格の探偵の原田の家庭の問題と事件が絶妙に絡んでキレイにまとまってました。(05年7月)
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この人の本はリアルで怖い。怖いけど気になる。絶対どこかで起こってる気がする。きっとくる…きっとくる…
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登場人物の多さに戸惑いましたが、そこから巧くあぶりだされてくる展開に夢中になりました。さすが、貫井氏。最後にしみじみ締めくくるのもなかなかでした。
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面白い。
場面転換が多く、付いていくのが少し大変だけど。
意外な展開があって、読み応えあり。
一気に読み進める、オススメの本。
ちなみに、あとがきも面白かった。
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症候群3部作の第1弾。面白いと勧められて読んでみたものの、正直戸惑ってしまった。これ…面白いのか?面白くないことはないけど、盛り上がりとかが一体どこにあったのだろうと読後不思議に思ってしまった。
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「真梨子が緊急入院したのよ、自殺未遂かもしれないって…」 原田は呼んでも一向に応えない娘に強く語りかけた。何でこんなことを…。
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前回読んだ「慟哭」もそうだったんだけど、
複数の視点が交互に入っていることで、
一つのシチュエーションが双方から見る事ができ、
本当にページを捲る手が止まりません。
どんでん返しが無くても、先の展開が読めても、
何故か楽しめる1冊でした。
症候群三部作、読むのが楽しみです。
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三部作シリーズの第一弾。3人のメンバーのうち、「私立探偵・原田柾一郎」にスポットを当てて書かれている。失踪者を追い続けるうちに、別の事件に結びつく。おもいしろい話だが、
このシリーズが三部作になっている点に注目!きっと、「托鉢僧・武藤隆」、「肉体労働者・倉持真栄」の視点で残り2作が書かれているのだろう。何らかの理由で警察を辞めざるを得なかった3人。こちらの方が気になるところかな。