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商品説明
「夢は捨てない。きっと叶うから」 大阪・下町の夢見少女セイコは、念願通りに作家になる。でもしんどいことも一杯。楽しいことはもっと一杯。「ま、こんなトコやな」の半生記。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
田辺 聖子
- 略歴
- 〈田辺聖子〉1928年生まれ。小説家。著書に「感傷旅行」「ひねくれ一茶」など多数。
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紙の本
語る言葉
2006/09/22 16:08
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:なが - この投稿者のレビュー一覧を見る
「忌憚なくいわせてもらえば、谷崎潤一郎の『細雪』は傑作ではあるものの、大阪弁表記という点では失点が多い。谷崎さんは大阪弁が分らないので、大阪弁をしゃべる人の発音を聞いてそのまま書かれた。元来、大阪弁の抑揚、発音に疎い人が耳できいてそのままを表記するのだから、字面はまことに汚い。(後略)」(本文より)
この人の本の校正は大変だろうな、と失礼ながら思うことがある。いやらしい当て字でもないし、こりにこった言い回しでもない。まして、画数の多い漢字が黒々と続くわけでもない。ただ、ところどころにルビがふられているだけである。
この“字面”が、先の本書からの引用につながる。こう書いてこう読ませたいか、というよりも、大阪弁のこの言い方ってこういう意味だったか、と思いながら読みすすむことになる。
これは、読み手が生粋の大阪人ではなく、大阪、というよりも大阪に近い兵庫文化圏の影響を多大に受けている非関西人だからかもしれない。これが、大阪人だったり、逆に関西とは縁もゆかりもないような人であれば、読み方は全く違ったものなのだろう。
田辺聖子氏の作品にしろ『細雪』にしろ、ある言葉の表記にこだわりそれを楽しむのなら、“朗読”という形態にすればよいのでは、というご意見もあるだろう。だが、文字から聞こえてくる言葉と、音から聞こえてくる言葉とは違う。
文字からどんな言葉が立ち上がってくるか、何を聞きとれるか、そう思いつつ「大阪弁をひっさげて、私は<フランソワーズ・サガン>しよう、と思った」田辺氏の作品を読んでいる。