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紙の本
後半が残念
2002/05/18 20:18
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ピエロ - この投稿者のレビュー一覧を見る
ロジャー・シェリンガム物の長編第8作目。地下室に埋められていた死体を巡っての推理が繰り広げられます。
この死体、時間が経っていたのと手がかりになるようなものがほとんどないのとで、身元がなかなかわからない。前半はこの身元を確認するための調査なのですが、これが滅法おもしろい。くわしくは書きませんが、なかなか凝った構成で楽しませてくれます。
それに比べて、謎を解き犯人を探り当てる後半は、よくまとまっているとは思うのですが、どうしてもコジンマリとした感じがしてしまいます。特徴のある人物たちを登場させ、裏に秘められた人間関係などで、せっかく前半であれだけ盛り上げたのに、とちょっと残念でした。
もう一つのお楽しみは、名探偵にして迷探偵のロジャー・シェリンガムが、今回の事件を無事解決できるのかということ。ロジャーの作家としての顔が見られるのも、ファンにはうれしいサービスですね。
紙の本
ミステリとしては納得できる構成
2001/01/19 10:42
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:愛・蔵太 - この投稿者のレビュー一覧を見る
世界探偵小説全集の第二期も、未読のものが何冊かあるので、機会を見て読んでみたいです。読みはじめると続いたりしますが。
ロンドン(ミドルセックス州ルーイシャム、ってどこだか分からないので、とりあえずロンドン警視庁の管轄区域なのでロンドンにしておきます)にある住宅の地下室から、新婚夫婦が死体を発見する。警察サイドではそれが誰だかは分かったのだが(分かるまでの調査が長いの何の)、読者と名探偵に挑戦するために、モーズビー警部は名探偵シェリンガムのところに行く。シェリンガムは自分が少しだけ関わった私立初等学校を舞台にした、未完成の草稿を見せる。そこに描かれているのは、校長とその娘を中心にした、複雑な人間関係と相互の心理。被害者は結局○○であることが分かるが、次はその犯人探しだ。しかしその犯人と思われる人物は、△△以外には存在しない。最後には殺された女性の過去も含めて、意外な真犯人が出て来る。
しかしその、警察サイドが犯人と思っている人間は、どうせミステリなんだから犯人ではないに決まっているわけで、もうこいつが犯人だと思えるような証拠なんてどうでもいいから、早く別の殺人とか、複数の容疑者とか出して欲しいと後半の展開では思ってしまいます。これだけ個性的な学校関係の人間を出していながら、各人の裏の秘密とか、犯行に結びつく動機とかがあまり出てこない、というのもいかんですな。警察と探偵サイドの尋問と調査が続くだけ、みたいな。帯に書いてあるような「鮮やかな展開」というのは、いささか疑問。
ミステリとしては納得できる構成ではありますが、キャラを使い切っていない、という、個性的なキャラを出しすぎているミステリにはありがちな欠点が気になります。しかしラストの「そして、そうなったのだった」というオチ(ネタバレでは、多分ないと思います)は、そういった欠点を一掃するほどのいい感じで、真犯人のあまりにも通俗的な、小説としての物足りなさが一気に吹き飛びます。
(初出:「仮装日記」2000年8月20日)