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紙の本
痛せつない。
2000/10/23 22:19
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投稿者:kaede - この投稿者のレビュー一覧を見る
クリスマスを目前に控えた札幌に住む神尾希実(のぞみ)は、バイト帰りに行きずりの男と関係を持って得たお金で、高校時代からの恋人・和樹のいる東京へ駆けつけるが、彼の部屋には自分以外の存在が…。
そんなあらすじで始まる4編のオムニバス。
恋人をつなぎとめておきたいがために、ものわかりのいい恋人のふりをする希実のベクトルはもちろん和樹に。
和樹といるとき以外の自分なんて何をしても、誰と身体を重ねても、まったく価値はないのだと主張するような希実に惹かれてしまう、行きずりのはずの男・小泉のベクトルは、盲目的に和樹以外を視界に入れない希実に。
いつだって誰とつきあっても長続きしないようないい加減な小泉にも一応一年近く続いた恋人郁生は、自分から追いかけるようなことはしそうにない、ドライなやつだと小泉は思い込んでいたが、本当は、ひそかな激情と共に、郁生のベクトルは、たった一夜の関係しかない希実に本気に惹かれてしまう小泉に向かっていた。
そんな、みんなの真剣で大切な想いが痛せつなく、もどかしいほど報われなくてやるせない。