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商品説明
結核、そして小児科の医療にたずさわりながら市井人の視点を貫いた著者が、みずからの老いを意識しながら綴った晩年の随筆集。大好きな映画の話や交友録などに、89年の人生と思想のエッセンスが詰まっている。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
松田 道雄
- 略歴
- 〈松田道雄〉1908年茨城県生まれ。京都帝国大学医学部卒業。戦後、京都で小児科医を開業するかたわら評論家をかねて活動。医師、育児評論家。著書に「私は赤ちゃん」「育児の百科」ほか。98年没。
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紙の本
晩年自らの老いや死を意識しつつ、つづった随筆集
2000/08/17 15:52
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投稿者:松山真之助 - この投稿者のレビュー一覧を見る
■ <ワン・チョット>
「私は医者として、ふたつの幸運にめぐり合えた。ひとつは開業医の家に生まれたことである。・・・・」
■ <引き続き>
そして・・・その著者、故松田道雄氏のもう一つの幸運とは、「育児書を書いたこと」だという。
「育児の百科」
(ref:Webook http://www.isnet.or.jp/isn00029/webook/98.6/98.6.10.htm)
この本を通じ、日本中の多くの人が、そしておそらく3世代くらいにわたり、同じ一人のお医者さんにお世話になっているケースは恐らく他にはない。育児書となってはいるが、思想の書でもあり、哲学の書でもある。
自分の良心と思想に基づき、患者主体の(あるいは赤ちゃん、幼児主体の)医療哲学の実践は、結果として体制や権力と相容れない形態となる。(保険医登録はしない自由診療)市井の一医者として臨床の現場にいながら、医療や育児などにこれだけの影響力をもった人はいない。そして晩年は、介護や死に方などに対する己の決定権を強く意識した執筆活動を行っている。
この本は、昨年(98.6)亡くなった著者が、晩年自らの老いや死を意識しつつ、つづった随筆集である。後半には、著者の薫陶を直接受けた人(医師、学者、ジャーナリストら)の追悼の一文が掲載されている。いずれもこの人に対する深い思いが滲む。この国の医療、育児、思想におおきな遺産を残した「松田道雄」その人の息遣いが伝わるような本である。
一度でいいから生前にお会いしたかった・・と悔やみながら、「本を通して、いつでも会えるじゃないか」と思い直した私。
「育児の百科」を通じこの人にお世話になった方、そしてこれからお世話になる方に是非とも・・・。