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商品説明
「空」とは、「般若」の智恵とは、「陀羅尼」の呪文とは。芥川賞受賞作家の著者が釈迦の誕生に遡り、仏教のエッセンスを単純明快に読み解く、読み易くて分かり易い仏教入門の書。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
三田 誠広
- 略歴
- 〈三田誠広〉1948年大阪市生まれ。早稲田大学文学部卒業。高校在学中に「Mの世界」で「文芸」学生小説コンクールに入選。77年「僕って何」で芥川賞を受賞。他に「迷宮のラビア」など多数。
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紙の本
中途半端なファッショナブル・ナンセンス?
2001/03/31 12:38
1人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:もろ - この投稿者のレビュー一覧を見る
『般若心経』の解説書には、本書のように「謎を解く」とか「今明かされる秘密」なんていうタイトルがついた本が多い。これは最近始まったことではなく、空海さん(弘法大師ね)の『般若心経秘鍵』も要するに「般若心経に隠された秘密を解く鍵」というタイトルなので、昔から『般若心経』は謎に包まれた(と思わせる)経典だったのだ。
ところで、「〜の謎を解く」というタイトルが多いのはトンデモ本である。トンデモ本の著者は往々にして自意識過剰(人によっては教祖!になったり)で、誰を指しているかよくわからない「偉い学者」への対抗意識が強かったりするのであるが、本書にもそういうのが端々に見られる。自分が早稲田大学客員教授なのを棚に上げて「偉い学者」を批判する一方、自身のことを「現在では数少なくなった良心的な作家」などと言える人は、確かに数少なかろうと思う。
内容はなんだか、ありがちな感じである。例えば、出家する前の釈迦が豊かな王国の王子であったとされるのは後世の捏造で、「寒村の村長さん」の息子ぐらいなら「ありうる話だと認めてもいい」などと、一見、客観的かつ批判的な態度で「伝説」を切り捨てている。かっこいー。でも、釈迦が本当に金持ちだって、後世の「伝説」では豊かな王国の王子として描写されるだろうし、また筆者が推測するメシア的な転輪聖王イメージも、釈迦が金持ちだった方がより強まったに違いない。つまり作者の態度は、客観的でも批判的でもなくて、主観たっぷりのワイドショー的な判断なんだ。
もっとも、「皆さんと同じ一般人」である筆者が、「一般人」である読者に向かってわかりやすく謎を解こうというのだから、こういうワイドショー的な分析も悪くないのかもしれない。でも筆者は一方で、四大元素はプラズマみたいだとか、釈迦は苦行の末、脳内物質でハッピーになった、とか、科学的知識を導入して客観的な雰囲気を強化させようとしている(ちょっと前に流行ったファッショナブル・ナンセンスですな)。この試みは哀しいことにあまりうまくいっていないんだけど、芥川賞作家で早稲田大学客員教授が仰ればなんとでもなりそうな感じではある。
ということで、中途半端だなぁという印象。『般若心経』のトンデモ本が読みたい人は般若心経現代語訳 釈迦の怒りと二千四百年目の真実が管見の範囲でバツグンにキレているので、個人的にはお奨め(でも、楽しむには、トンデモ本を楽しめる心と仏教の知識が必要)。