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商品説明
通貨統合後の欧州中央銀行に多大な影響力を有するドイツ・ブンデスバンクの通貨統合への支持、推進への転換の根拠をドイツ経済の分析にもとづいて検証し、通貨統合後のユーロの展望に対して素材を提供する。【「TRC MARC」の商品解説】
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紙の本
95年を境に政策はユーロのマルク並みの安定性維持とドイツにとってのEU通貨統合推進に進んだ
2000/07/10 09:16
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投稿者:河野 誠之 - この投稿者のレビュー一覧を見る
ドイツの中央銀行であるブンデスバンクが1990年代にとった通貨価値安定政策とその欧州通貨統合政策の変遷に焦点を絞り,学者らしい運び方でブンデスバンクのユーロ戦略を活写している。ドイツの通貨・金融政策やユーロ導入に関心をもつ読者やユーロ入門を卒業した学生にとって興味ある一冊である。
99年1月のユーロ誕生や欧州中央銀行ECBの単一金融政策開始までは,欧州通貨制度EMSでドイツ・マルクが基軸通貨の役割を果たし,ブンデスバンクが欧州の金融政策を事実上リードしてきた。本書では,ブンデスバンクの物価安定を最終目標とする通貨価値安定政策が90年代のEMS下においていかに変化したかを,ドイツにとっての通貨統合の必要性とともに論証した。それにより,ユーロ導入後のECBに対する政策要求の選択肢を示している。
物価面では,ブンデスバンクは95年までマルク高を優先させることでインフレ抑制に成功した。資本市場面ではこの90年代前半のマルク高が非居住者からの投資資金の流入を呼び,長期金利の低下をもたらした。90年代後半には各国のインフレ収束と,通貨統合期待によるドイツ周辺の高金利国におけるリスクプレミアムの低下とを反映した形で,長期金利の低下として現れた。
貿易面では,ドイツの貿易構造やマルク相場のEU域内貿易との関係の分析が示すように,ドイツの輸出に対する,マルク高の直接的抑制効果とマルク安による周辺国の景気後退の間接的抑制効果が相まって,域内相互依存度が高いEUでは貿易拡大のために通貨価値の安定維持が求められた。
以上,物価,貿易,資本市場の3つの観点からブンデスバンクや有力論者の見解も紹介する形で論証を行い,ブンデスバンクがユーロに関しECBに対して求める安定政策の内容は物価安定と通貨の対外価値の安定であると結論づけている。
(C) ブックレビュー社 2000