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商品説明
【新田次郎文学賞(第19回)】周公旦は何故、亡命先に楚を選んだのか。殷を滅ぼし、周王朝を全盛に導いた「礼」の力とは何か? 太公望と並ぶ周の功労者、孔子が夢にまで見た至高の聖人の生涯を描く。『オール読物』掲載の単行本化。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
酒見 賢一
- 略歴
- 〈酒見賢一〉1963年福岡県生まれ。愛知大学文学部卒業。中国哲学専攻。著書「後宮小説」で第一回日本ファンタジーノベル大賞、「墨攻」で中島敦記念賞を受賞。
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紙の本
『陋巷に在り』(小説新潮連載中)
2001/11/09 09:46
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Snake Hole - この投稿者のレビュー一覧を見る
500年ほど後の時代を描いた『陋巷に在り』(小説新潮連載中) の前史的作品。『陋巷……』もそうなんだけど,著者は現代にも残る「礼」を,単なる「人間関係を円滑にするための気遣い,配慮,処世などが身体化した習慣」ではなく,目的は同じである(逆の場合もあるが)ものの,「意味を失って形骸化,形式化している呪術的所作」と解しているようだ。
あらゆる宗教のあらゆる祈りの言葉,所作,儀式には神話的(というより呪術的だが)世界では今より明白な「意味」があったはずなのである。物語後半,揚子江方面南蛮の地に赴いた周公が,その地で行われる食人の呪術的意味を諒解するあたりはなかなか読ませる。これもそうだが,ヒトが神聖な宗教行為として長く行って来た習慣には世界的に普遍的なものがある。後に成立したキリスト教支配下で悪魔崇拝として排除された行為の中にもそうしたものが多くあったはずだと思われる。
そういえばパプア・ニューギニアなどにある名前のタブーは,映画「π」で使われていた「暗号化された神の本当の名前」に通じるものがある。日本人も似たようなことをしていたな,秀吉が大事な跡継ぎを一度捨てたことにして「お拾い」と呼んだのは有名な話だ。易姓革命に関しては『封神演義』という伝奇的傑作が成立しているが,酒見賢一の視点はもっとなんというか宗教社会学的……いや文化人類学的かしら,その展開は手塚治虫「火の鳥:太陽編」における壬申の乱の扱いと共通点があるような気がする。