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終わりのない苦しみは何のためのものなのか?愛の意義を問う物語は結末を迎える。
2001/01/26 14:19
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投稿者:ランゲルハンス - この投稿者のレビュー一覧を見る
近石昭吾はいまだ終わりのない罰を受け続けている。愛を信じないゆえに続く、永久の愛の苦しみ。彼はいつまで試練に耐えなければならないのか? 彼が愛を信じるようになればこの試練は終わるのか?
第4章では近未来が舞台となっている。そこを闊歩しているのはかつて人間がつくり出した合成人。女王率いる合成人たちは、本物の人間を追放しようとしていた。女王暗殺の使命を負った昭吾は、逆に合成人たちに捉えられてしまう。合成人は彼にあることをさせるために彼を殺さないでおいたのだ。
自分たちをつくった人間よりも頭脳も肉体も優れている合成人たちだが、彼らは愛というものをもたない。彼らを動かしているのは合理主義のみだ。合成人の前身は都会の人間だった。自然を汚し、自分たちの都合のいいように変えてしまう都会の人間の性質を、合成人もそのまま受け継いだのだ。
現代の日本も、科学と経済の発展によって、少なくとも物質的な繁栄を享受している。それでも科学はさらに高度化しようとし、経済においても再び好況になるべく国家をあげて努力している。そこには何かが足りない気がしないだろうか? 競争原理や合理主義に則ってさらに努力を続けて、これ以上に豊かさを追求するのだろうか? 何を求めて人間たちは毎日のように争い合い、ストレスを自らつくり出しているのか? 私たちは愛をもたない合成人に近づいているのではないだろうか?
そして第5章。ついに愛というものを掴んだ昭吾の姿に、彼を治療していた医師は思わず「きみはなおったな…!」とつぶやく。それでも今回も彼の愛は報われない。
時と場所を超え、結ばれぬ愛を繰り返す昭吾は、長い歴史の中で愛に苦しめられてきた人類の姿の象徴ではないだろうか。それでも愛があるからこそ人間なのだと思う。