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マーガレットとご主人の底抜け珍道中 旅情篇 (ハヤカワ文庫 JA)
マーガレットとご主人の底抜け珍道中 旅情篇
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紙の本
ご主人はひとりぼっち……「マーガレットとご主人の底抜け珍道中(旅情編)」
2000/08/20 22:24
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:B.T. - この投稿者のレビュー一覧を見る
夫婦の旅行日記である「マーガレットとご主人」の主要人物であるご主人の名前はあまり知られていないと思うのだが、タルカムという名前がちゃんとついている。僕らがこれを忘れがちなのは、タイトルが示す通り、この短編を集めた長編はマーガレット奥さんを追いかけるご主人(タルカム氏!)の旅行記だからだ。
ご主人はどんな仕事をしているのだろうか? 僕らが物語から知るのは、彼が園芸を愛する人であるということと、たまに外国へと出張に行くことと、マーガレット奥さんが作った料理を愛する男であるということだけだ。毎回毎回奥さんの気まぐれにつき合わされて、世界各国を旅行しなければならない彼の姿はほほえましく、彼と奥さんは、分かつことのできない絆で結ばれていることがわかり、僕らは幸せな気分になる。人の幸福な姿を見て気持ちが良くない人がいるだろうか。
だが、ご主人は旅行先でも奥さんを追いかけることになる。カリブ海ではかつての人食い民族のパーティに行ってしまった彼女を追いかけて、熱帯ではトカゲや蛇を百科事典片手にジャングルに入ってしまった彼女を捜して、自宅では「デートに行って来るから」と言い残し子供と遺跡見学に行ってしまった彼女を求めて、ご主人はいつもマーガレット奥さんの姿を探している。まるで彼女が彼の手の届かないところに行ってしまうのではないかと、心配する男のように。僕らは彼がいつも彼女のことを心配して後を追いかけるさまを読んで微笑するが、同時に何か悲しい気分が心の中にあることに気がつく。(もちろん、それぞれのお話はいつもハッピーエンドなのだが)
マーガレット奥さんは、いつもご主人とは違うところを見つめている。
それはたとえば遙か昔に滅んだ恐竜の記憶だったり、海に沈んだ都から聞こえてくる鐘の音だったり、幽霊屋敷の幽霊のささやきだったり、ジャングルに生きる変わった形の生き物であったりする。どちらかというと旅行よりも平穏な日常を愛する男であるタルカム氏は、彼女のそういう冒険的なところをはらはらしながらもそれを受け入れていて、マーガレット奥さんが自分といることを本当に幸せだと思っているのだ。
幸せな生活の中にちりばめられたほんの少しのかなしみが、僕らの心を静かに揺さぶる。マーガレット奥さんが彼には見えないものを見ているとき、ご主人はひとりぼっちなのだ。
電子書籍
アクティブ
2017/06/10 19:03
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:pope - この投稿者のレビュー一覧を見る
思い立ったらすぐに旅に出てしまうマーガレットとそれを追いかけるタルカム夫婦の物語。
ペンギンの幽霊なら怖くないな。
マーガレットは、ちょっとバジル氏のビクトリアに似ている。