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紙の本
美しき秘め事
2002/06/16 00:24
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投稿者:海月 繭 - この投稿者のレビュー一覧を見る
波津淋子氏は、長篇よりも短編作品を膨大に描いて来たのですが、短編ゆえにどの単行本にも収録されず埋もれてしまった作品が多く存在します。
波津氏の長篇作品は『雨柳堂夢話』や『異国の花守』などが有名です。
それらの作品もとても素晴しいのですがでも、この短編を読んで、しみじみと感動しました。
彼女の作品は、まず趣きがあって、感情表現が繊細です。絵柄も、その作品世界に相応しく、繊細で、表情が豊かです。色彩感覚に優れているので、カラーが素晴しいです。
タイトル通り、一冊に9つもの短編が入っています。どれも素晴しいのですが、私は特に、「花の家」が印象に残りました。これは、日本画家の妻の回想(設定が素敵ですよね)によるストーリです。彼女の夫である画伯は「あなたのために描けるだけの花を描きましょう」と言ってプロポーズしました。でも、桜だけは描かなかったのです。その謎の答えを、画家の妻が語るという形式でストーりーは展開します。
人は誰しもその人だけの秘密を持っているはずです。その中の、美しい秘め事だけを、そっと語ってくれる。そんな夜話を、そっと聞き入ってみて下さいませ。