Ｍａｋｉｎｇ ｏｆ ｗｅｂ

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投稿者：小田嶋　由美子　-　この投稿者のレビュー一覧を見る

　本書は，「勝ち組と言われる企業のWebサイトが目指したコンセプトを知り，自社サイト制作の参考にする」目的で編集された。Web関連の書籍にはオーサリング技術や，ビジュアル・デザインだけを解説したものが多いが，この本では，Webサイトの目的・構成・デザイン・動画・プログラムなどをコンピューターの画面を通してではなく，紙面を通して見せようとしている。すべての記述について“英文”が併記されており，企業のWebサイト（しかも日本のサイト，もしくはその支社）だけにフォーカスしている点でも珍しい切り口の本だ。
　大部分のページを飾るのは，各企業のサイトのスクリーンショットである。そして，Webサイトの骨組みが単純な構成図で表現され，担当者のコメントが添えられている。紙面では理解しにくいアニメーションは，紙芝居形式で見せている。これらを見ていくと，本書に紹介された各企業がWebサイトで何を目指しているかを容易に理解できるだろう。
　Webサイトで使用されるさまざまな技術についても，参考例とともに簡単な解説が述べられている。通常Webサイトで無意識に見ているものがどのような技術を用いてデザインされているのかを知る手助けになるだろう。
　「企業のWebサイト制作ドキュメント」のセクションでは，新たに企業のWebサイトを立ち上げるまでを，110日前からのカウントダウン形式で再現しており，かなり読みごたえがある。
　おもだった関係者のインタビューは，Web担当者の参考になるはずだ。そして最後に「Webサイト制作料金表」が掲載されている。（あくまで目安としてだが）どれくらいのコストが必要なのかを知る上で非常に良い資料である。
　このように本書は企業の担当者がWebサイトを制作する際の参考書として利用できるものだが，気になるのは1万2000円という価格だろう。本の価格とそこから得られるメリットを判断するところがWeb担当者の最初の仕事かもしれない。
(C) ブッククレビュー社 2000