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紙の本
ミステリーコーナーより
2001/02/05 17:39
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:若竹七海 - この投稿者のレビュー一覧を見る
これは連作というよりも、むしろ長編に近い作品ですね。かつて自分が感じていた鬱屈に殺人事件を絡めて、80年代初頭のマイナーな高校生の話を書きたかったんです。自分自身が抱えていた鬱屈を描いているので、書いていてカサブタを剥がすような快感がありました。
紙の本
アイデアは面白いのに、いまいち読後のキレが悪い。
2005/09/19 04:22
5人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:真琴 - この投稿者のレビュー一覧を見る
内容はさておき、ちょっとゴタゴタしているなぁ・・という感じ。
15年前通っていた高校で殺人事件が起き、そろそろ時効を迎えようとしているその頃、仲良し6人組は、そのうち1人の結婚式で顔を揃える。6人がそれぞれ高校時代の回想から、勝手な犯人像も多数含め、本物の犯人に結び付けていく。途中から犯人がわかるような気はするが、はたして・・・・?
同じ学校、同じ年齢、同じ性別という共通点の主人公6人が、それぞれ苗字、名前、あだ名で呼ばれており、半分過ぎるまで正直区別がつかなかった。読後ゴタついたイメージを持ってしまうのは、このあたりが原因だろう。
殺人事件ももちろん恐ろしいことだが、主人公達の多感な年頃の回想なので、勉強やらスポーツやら異性やら同性やら・・・共学しか知らない私としては「女子高って本当にこんな感じなの?」と、別の恐ろしさを感じてしまったのだ。
しかし、高校生の女の子の心理描写はさすがに上手い。殺人事件という大きな流れの中に、小さなテーマをいくつも隠してある。何かに熱中している人を見下しつつも、熱中出来ることを持っていない自分に対する不安。体型に対するコンプレックスからくる拒食症。親から見た「いい子」からの脱却。個性的でありたいが、周りとのバランスも保ちたい。う〜ん、鋭い。年をとってしまえば小さな悩みとも思えるが、確かにこの年齢の頃は大きな悩みだったはず。それだけ真剣に生きていたのか、面の皮が厚くなったのか・・・。
ため息の出るような面白さでは無かったと思いつつ、他の若竹作品を買い物かごに入れた私です。
紙の本
変幻自在なオンナノコ。
2004/05/11 17:10
1人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:purple28 - この投稿者のレビュー一覧を見る
私が高校生だったころ、今の自分はゆで卵だなぁ、なんて思ったものです。
しかしまだまだ甘かった。
卵には、スクランブルエッグに、オムレツ、ポーチドエッグ、それから温泉卵なんてものありますか。
お好み次第でいかようにも変化しますと自分で言ったか、えーいこんなものはこうしてやると変化させられたか、とにかくバリエーションには事欠かない。
そこがそもそも女子高生なのではないかと。
舞台は1980年代の女子高。まさに青春まっさかり、のはず。
しかしながら、一筋縄でいかないところがまた女子高生だったり。
現代のいわゆるコギャルどもとはちがって、幼い部分あり、大人びた部分あり、でも何より“自分”を持っていたと思います。それが例えば軟弱だったり、自分勝手だったり、そういう向きは多少あったとしても。
それでも、純真さと同じところにやっぱり残酷さを同じだけ持っているのがオンナノコ。
駆け足なんてものじゃなく、猛スピードで駆け抜けた高校3年間。スピードに反比例するように、内容はとても濃かったと、今振り返っても言えるね。
けれども、いくら濃くても、殺人事件はさすがになかったさ。
とても貴重な3年間。そんな時期に遭遇する殺人事件。
普通の高校ではなく、私立の、お嬢様が通う中高一貫の女子高が舞台ともなれば、また周辺事情も変わってきましょう。
若竹七海自身はこちらの書評に「マイナーな高校生の話を書きたかった」といってはいますが、大部分を占めるのはこういうマイナーな子たちではないかと。逆に、「メジャーな高校生」はほんの一握りしかいないのです。メジャーになれない子たちは、みんなマイナーに甘んじているわけだけれども、でもそれはそれとして、その中でも優劣は微妙でしかも容赦ない。日々順位は入れ替わり、それによって高校3年間の生活すべてが決まってしまうようなことがなきにしもあらず。しかし、戦々恐々としていながらも、そんなことはおくびにも出してはいけないというのがなぜか暗黙のルールだったり。女子高はとくに、その序列が厳しいですね。言葉から想像するような“女の園”では決してなく、サバイバル、そう戦場なのかもしれません。
そういったマイナーな=普通のオンナノコたちは、どのように大人になっていくのでしょうか。
殺人事件に遭遇してしまった文学部の6名は、15年後、みんなそろって再会します。
そこで暴れるのは、それぞれの高校時代そのもの。
あの時あの子はきっとこうだったから……、というのも、今だからこそ思えること。成長するのにも、諦めを知るにも、必要なのは時間。
もう、隅から隅までまるっきり自分。ただ、私はゆで卵だったのよ。違うのはそこだけ。バリエーションの種類だけ。でも結局みんな卵だった、あの頃の女子高生は。
そうやって思い出にひたりながら、苦い記憶を噛みしめながら、それでも「ああ良かった」と思える結末が心から嬉しい。
紫微の乱読部屋
紙の本
衝撃のラスト
2001/11/01 10:37
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:かずね - この投稿者のレビュー一覧を見る
とある私立女子高校のシャワールームで少女の殺害死体が発見されます。事件は解決しないまま15年の 歳月が流れてしまいます。事件の時、高校生だった生徒たちが友人の結婚式で再会し、6人のそれぞれの 視点でみた回想シーンによって15年たった今になって謎が解き明かされるという少し趣向の変わった ミステリです。
連作短編形式の各人の回想シーンには殺人事件の他にも事件が発生して謎がからみあい、どんどん ひきつけられました。
ただ、登場人物が少ないわりには、名字・名前・あだ名と人物1人に対して、3通りで書き分けられていて 少し、人物像がつかみにくいかな? と感じました。最初は話の大きな流れが見えにくかったりしたのですが 5人目の回想シーンあたりからは、からみあっていたものがするするとほどけていくかのようにものすごい 勢いで謎の核心にせまってゆき、ラストの衝撃はとてもすごかったです。
紙の本
混沌とした迷いはまるで卵がかきまぜられたようで。
2000/09/21 08:54
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:竹井庭水 - この投稿者のレビュー一覧を見る
80年代のマイナーな高校生群像を描いた連作短編集、といえば話は早い。ところがところが、まさかこんなに仕掛けと毒気が盛りだくさんだったなんてさすが若竹七海。解説で佐々木譲が長篇だと主張するのも肯けます。あ、この解説は先に読まないほうがより楽しめるかも。
夏美、マナミ、飛鳥、宇佐、洋子、沢渡の文芸部員6人が主人公。彼女らが通うのは中高一貫教育の私立の女子校。高等部編入組は<アウター>と呼ばれ、スポーツ大会に異様なまでな熱がこもっており、おまけに教師も頭が固い。そんな状況を忌み嫌う言わば“異端児”な文芸部員達もさすがに驚いた。放課後にシャワールームで17歳の女性が殺されたことを知ったときには。
6人がそれぞれ主人公を努める短編が6つ。弁当盗難、転落事故、毒物混入などの事件が起きては解決され、その後ろには背骨のように殺人事件が貫いているという形。主人公と同じく、探偵役も持ち回りでやってくるのが面白い。そしてそれに15年後の結婚式に様子が挟まれて、式の最中に一人が「わかった」なんて呟いたりして、連作短編形式を生かしきった展開に万歳。こうなるともうプロット勝ち。ページめくる手止まらず。
しかもこれだけじゃない。主人公達が女子高生とはいえ、生意気で、毒が有って、自意識過剰なやりとりは10代を通り越した全ての人に重なる部分があるはず。アウトサイダーな彼女たちに散りばめられた青春群像。こんなに苦い気持ちになるのは何故だ。言葉に出来なかった10代の忘れ物が、活字で胸に迫って来る。回想と構想のバランスが絶妙のこの逸品。傑作!