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- カテゴリ:一般
- 発行年月:2000.9
- 出版社: 岩崎書店
- サイズ:24cm/88p
- 利用対象:一般
- ISBN:4-265-94441-8
紙の本
ぼくの鳥の巣コレクション
著者 鈴木 まもる (著)
じぶんの感性を信じて生きよう。そう、鳥のように…。鳥の巣に魅せられた画家・鈴木まもるが語る鳥と巣、そして、生きかた。【「TRC MARC」の商品解説】
ぼくの鳥の巣コレクション
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著者紹介
鈴木 まもる
- 略歴
- 〈鈴木まもる〉1952年東京都生まれ。東京芸術大学中退。画家。主な絵本に「鳥の巣の本」「詩画集鳥の巣のうた」など。
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紙の本
編集者コメント
2001/02/09 11:48
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投稿者:岡埜謙一 - この投稿者のレビュー一覧を見る
野鳥マニアは掃いて捨てるほどいるが、鳥の巣マニアという人がいるとは知らなかった。本書は画家である著者が、鳥の巣を生態学的な面からでなく形態的な面から紹介した画文集である。カラーやモノクロで多数の鳥の巣が精緻に、しかも暖かいタッチで描かれていて、絵を眺めるだけでもとても楽しい。画家だけあって、巣の芸術性に着目するあたりは並の野鳥マニアのおよぶところではない。観察眼も鋭いが、文章も軽妙で親しみやすく、かつ随所に我々凡人に対する軽い皮肉も散りばめられ、思わず「うん、なるほどなあ」と笑ってしまう。
私も野鳥好きで、よくあちこちに鳥を見に行くが、なかなか小鳥の巣を見つけることができない。カラスや猛禽類の巣はなにしろ大きいので、これは晩秋から春先にかけてよく見かけるが、小さな野鳥となると難しい。せいぜいヒヨドリやメジロの巣くらいだ。野鳥の繁殖期は葉の多い季節と重なるので、なおさら巣は見つけにくいが、それ以外の季節に見つかる巣は使用済みの空き家である。だから持ち帰ってもかまわないわけだが、当然のことながら簡単に取れる場所にはない。本書にも紹介されているが、鈴木まもるさんの自宅の周囲にはずいぶん野鳥の巣が多いようだ。ヤマネやリスの巣まである。ヤマネの巣というものを本書で初めて目にした。
たくさんの巣を労せずして手に入れたのかと思いきや、そうではなかった。常日頃近辺の山中を歩き回って探した成果なのだ。また、近在の人も協力して、巣の情報を提供している。まさに「東にウグイスの巣があると聞けばトンデユキ、西にカワセミの巣があると聞けばスコップ持参でカケツケ」といった毎日なのだ。そう、カワセミの巣も掘り出して復元している。
それにしても鳥の巣の形は、見れば見るほど面白くて不思議に満ちている。たとえばメジロならどこのメジロも同じ形の巣を作ることだ。東京在住のメジロの巣は丸いが、伊豆のは三角、ということはないのだ。遠い祖先から、巣作りの情報が遺伝子にインプットされているのか? また、巣の内部がどれもきれいに丸くなっているのも長い間謎だったが、本書を読んで目からウロコが落ちた。外から形を整えるのではなく、あるていど巣材が集まった段階で中に潜り込み、中で体を動かして丸みを作るのだ! 余談だが、我が家にプレーリードッグというリス科の動物がいる。これがとても巣作りが上手で(しかも以上に熱心)、巣材に古セーターを切って入れてやると、一カ所に集めて真ん中に入り、体を潜り込ませて丸い巣を作る。これとまったく同じだった。
鳥の巣は壊れやすいので、その保存方法まで絵入りで事細かに説明してある。もしも幸運に恵まれて何か巣を拾ったときは、いい参考になるだろう。これから春先まで、鳥の巣探しにはいい季節だ。鳥見物の傍ら、事前に本書をよく読んで、目を皿のようにして巣を探すのもいい。ただし、雌雄のペアリングから雛の巣立ちまで、わずか2カ月のために親鳥は手の込んだ巣を作るのだから、そのご苦労と芸術性に敬意を表しつつ。
本書を読んだおかげで、鈴木さんの他の本も全部欲しくなってしまった。毎月の少ない書籍購入費がまた圧迫されてしまう。困ったことだ。
(岡埜謙一 フリー編集者兼動物里親。現在我が家には、プレーリードッグとカモがいます。みな室内で同居してまして、カモがウロウロしてる毎日です。)