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商品説明
日本国内の公演はもちろん、ブロードウェイやロンドンの公演まで、五感をフル動員して綴られたライブ評。各公演のキャストなどの詳細データも収録。月刊『ミュージカル』連載「ミュージカル時評」の単行本化。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
扇田 昭彦
- 略歴
- 〈扇田昭彦〉1940年東京都生まれ。東京大学文学部卒業。演劇評論家。朝日新聞学芸部の記者・編集委員としてミュージカル評等を手がけた。現在、静岡文化芸術大学教授。著書に「日本の現代演劇」ほか。
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紙の本
1993年から本年まで、東京をはじめニューヨークやロンドンで著者が見た88本のミュージカルのエスプリ
2000/10/17 00:15
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投稿者:大笹吉雄 - この投稿者のレビュー一覧を見る
二十世紀を特色づける舞台芸術は何かと問われて、ミュージカルだと答えたとしてもだれも反対しないだろう。その誕生と現在のごとき隆盛は、この世紀の舞台芸術を華やかに彩っていると言って過言ではない。
その二十世紀の最後の年に、ミュージカル・ファンにとっては願ってもないプレゼントがもたらされた。タイトルもそのものズバリの『ミュージカルの時代』である。
著者は必ずしもミュージカルの専門家だというわけではない。というよりも、長く新聞の演劇担当記者を務めていたので、ミュージカルのみならず、さまざまなジャンルの演劇に接し、劇評を書いてきた。この著者が「発見」した若い劇作家や演出家や俳優は無数と言ってもいいほどで、その意味で今日の演劇地図の作成に大きな影響を与えてきた。だからミュージカル専門誌に連載している劇評を一冊にまとめた本書は、あくまでも著者の一面を示すに過ぎない。
が、ミュージカルの劇評集と呼べる著作は同じ著者が一九九四年に朝日新聞社から出した『ビバ!ミュージカル!』くらいだから、ミュージカルの劇評集を二冊出した著者は、わが国で数少ないミュージカル評論家という「貌」を持つにいたったと考えていい。この肩書を著者が喜んで受け入れるだろうと思われるのは、本書に収録されたようなミュージカル評の筆致が、いささか他の場合と違っているからでもある。一言で言うと、肩の力を抜いて、いかにも楽しんで書いている。同時に、ちらりと素顔を見せる。
本書は九三年からの七年間の、筆者が東京やニューヨークやロンドンなどで見た八十八本ものミュージカルの、劇評集という体裁を取る。新作もあれば再演もあり、オリジナル。ミュージカルもあれば移入の翻訳上演もある。海外のものはともかくとして、わたしも同様の仕事をしてるので、取り上げられた公演はたいがい見ている。だから読んでいて納得し、見落としていた演出の意味を新たに教えられたりする反面、当然のことに違う感想を持つものもある。が、このことよりも通読して痛感するのは、ミュージカルもまた変わりつつあるという事実である。たとえばロック・ミュージカルの『レント』。
著者は九六年にニューヨークでこのミュージカルを見た。オペラの『ラ・ポエーム』を下敷きにしている。ただし、『レント』の登場人物が病んでいるのはエイズである。しかも大半がそれに感染している。また、リバイバル公演された『アニーよ銃をとれ』。これも著者は九九年にニューヨークで見たが、フェミニズムの影響で大詰めの演出に変更があった。この二つの問題は、今後ますます影を投げかけつづけるだろう。
『ショーボート』のリバイバル公演(九四年・ニューヨーク)のように、評を読んで見たかったと悔しい思いをするものもある。未見の舞台をそう思わせる記述が、著者の劇評の魅力である。なお、巻末に宝塚の『エリザベート』を演出した小池修一郎と著者との対談があり、個々の舞台にはスタッフやキャストなどの詳細な記録がついている。 (bk1ブックナビゲーター:大笹吉雄/演劇評論家、大阪芸術大学教授 2000.10.17)