池田貴族霊的告白

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投稿者：伊藤竜太　-　この投稿者のレビュー一覧を見る

　なんか怖いタイトルだなぁ。

　池田貴族って、昨年暮れにガンで亡くなったミュージシャンだ。ガンと闘う姿はテレビのドキュメンタリーにもなっていた。10年ぐらい前の人気番組「イカ天」をきっかけにデビューした「リモート」というバンドを覚えているだろうか?　リモートのヴォーカルが、池田貴族だ。

　霊感が強く、「霊能ミュージシャン」としてもてはやされた池田貴族の自伝なのだが、半分が霊体験、半分はミュージシャンとしての活動を振り返った記述だ。タイトルが示す通り、メインは霊体験の記述なのだが、この書から読みとるべきものはそれだけではない。

　目に見えない霊を感じ、目に見えない力を信じることができた彼は、ミュージシャンとして純粋だったと思う。目に見えないものを信じられなければ、音楽を信じることだってできない。目に見えない魂と魂との絆が、音楽の作り手から聴き手へのメッセージを伝えるのだ。

　彼が死を前にしてたどり着いた答えは、魂を浄化する音楽のパワーに対する認識である。結局のところ、彼は霊に惑わされて人生を翻弄され、答えを見いだした時にはすでに手遅れだったということになる。われわれは正しく生きることができなかった彼の生き様から、逆に、正しい人生の生き方を学ぶべきなのではないだろうか。