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商品説明
コポー、ピトエフ、コクトーなどとともに演劇革新の最先端を担い、20世紀の演劇、映画に偉大な足跡を残した名演出家・名優ルイ・ジュヴェ。その生涯を広範な文化史のなかに位置づけ、20世紀という時代を照らし出す評伝。【「TRC MARC」の商品解説】
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紙の本
「すさまじい労作!」で感心
2000/11/07 00:15
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:安原顕 - この投稿者のレビュー一覧を見る
A版・700 頁の『評伝』、やっと出た。まずは目出度い! なぜこんなことを書くかと言えば、ぼくが学研の契約編集プロデューサーをしていた1990年代中期、あるパーティで久し振りに著書に会った。その折、「いまルイ・ジュヴェの評伝を書いているんだけど、河出書房新社の担当者が辞めちゃって、企画が宙に浮いちゃったの。興味ある?」と訊く。ぼくは「ある、ある」と答え、それから間もなくお茶の水、山の上ホテルで会って打ち合わせをし、すでに書き上がっていた100 枚ほどの原稿を読み、正式に原稿依頼もした。そんなある日、「ジュヴェのヴィデオで、どうしても見たいものがあるんだけど、フランスのテープだから写らないんだよ」との電話。ぼくは会社に交渉、世界中のヴィデオを自動変換して見ることのできる「デッキ」を買って、贈呈した。たしか8万円くらいした筈だ。そうこうしている内、ぼくは学研をクビになりフリーになった。3年も昔の話である。しかし、3年経ってもなお、『ルイ・ジュヴェ』、出る気配がない(「あとがき」によれば執筆に10年!かかったらしい)。ぼくは「まったくグズなんだから」と多少怒りもしていたら、突然、作品社から刊行された。「あとがき」に、ぼくの名まであるが、なぜか本は贈られなかった。ルイ・ジュヴェ(1887〜1951)はフランスの著名な役者だが、誰も知らないだろうから「略年譜」を書いておこう。ルイは若い頃、ヴュー・コロンビエ座に出演、ジャック・コポーとも知り合い、長年一緒に仕事をしていたが1922年頃、コポーに冷遇されたことで怒り、仲たがいして劇団を辞め、2年後、自身の劇団を結成する。1930年代からは映画出演も多くなり、『舞踏会の手帖』(37年)、『北ホテル』『旅路の果て』(38年)等々、いまなお名画と言われる作品に出演。41年、カナダから公演依頼の折、アメリカ政府がヴィザ発給を拒否したため不能に。それから10年後の51年、カナダやアメリカ巡業中、狭心症で倒れる。「ジュヴェは時代の激動のなかで、いつも困難な道を選び、ときに挫折し、ときには失意にめげず、ひたすら誠実に生きようとした芸術家だ。私はそういう人間の姿を描きたかった」と「著者あとがき」にあるが、「すさまじい労作!」で感心した。