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- カテゴリ:一般
- 発行年月:2000.10
- 出版社: 早川書房
- サイズ:20cm/312p
- 利用対象:一般
- ISBN:4-15-208310-7
紙の本
蘭に魅せられた男 驚くべき蘭コレクターの世界
珍種の花を盗み捕まった男は、奇矯な蘭コレクターだった…。蘭栽培に関する蘊蓄やコレクターたちの面妖な世界を巧みに織り混ぜながら、蘭をめぐる類い稀なる犯罪事件を描くノンフィク...
蘭に魅せられた男 驚くべき蘭コレクターの世界
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商品説明
珍種の花を盗み捕まった男は、奇矯な蘭コレクターだった…。蘭栽培に関する蘊蓄やコレクターたちの面妖な世界を巧みに織り混ぜながら、蘭をめぐる類い稀なる犯罪事件を描くノンフィクション。映画化決定。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
スーザン・オーリアン
- 略歴
- 〈オーリアン〉1955年オハイオ州クリーヴランド生まれ。ミシガン大学卒業。『ニューヨーカー』のスタッフ・ライターとして活躍中。著書に「アメリカの土曜の夜」など。
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紙の本
植物マニアの地下世界をのぞく
2000/12/26 21:15
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投稿者:海野弘 - この投稿者のレビュー一覧を見る
花とかサボテンといったある種の植物にとり憑かれてしまう植物フリークともいえる情熱がある。私は植物にくわしくないが、植物フリークの話が大好きだ。先日もマイク・ダッシュ『チューリップ・バブル──人間を狂わせた花の物語』(明石三世訳 文春文庫)を読んだところだ。
そして、今度は蘭の話だというので、わくわくした。予想通り、これも実に面白い。たかが花にこれほどの情熱を掛けてしまう人間とはなんと不思議な生きものだろう。
私ははじめ、この本が蘭の歴史をあつかっているのかと思ったのだが、そうではなくて、現代のフロリダで起きたランをめぐる事件のドキュメンタリーなのだ。もっとも、歴史的背景や、この事件の占める位置も巧みに語られているので、文化史的にもよくできている。著者は『ニューヨーカー』のスタッフライターである。
彼女は地方新聞で、フロリダの湿地帯から、一人の白人と三人のセミノール族男性がランを盗み出して逮捕されたという記事を見て、調べはじめる。この事件の主謀者とされる白人ジョン・ラロシュに話を聞くうちに、蘭をめぐる不思議な世界に引きこまれてゆくのだ。
この事件のキーワードは、フロリダのファカハッチーという湿地帯、そこに生える珍種のラン、そしてセミノール族である。ファカハッチーは未開の湿原で、植物の採取は禁じられている。ここはまたネイティヴ・アメリカンのセミノール族が原住民として住んでいる。
事件を計画したラロシュは、ランの栽培が得意だった。フロリダの居住地にいたセミノール族は、この地が植物の宝庫なので、植物園をつくり、一九九二年にラロシュはそこに雇われたのであった。
彼はそこで、ファカハッチー地区から珍らしいランをとってきて、この植物園で増やして売って、もうけたいと思った。もちろんとってはいけないのだが、アメリカには、もともと原住民だったネイティヴ・インディアンは、居留地内の動植物をとるのはかまわないという法律があるらしい。なにしろ合衆国政府以前から、ずっとそれらの動植物をとってきたのだから、仕方がないということらしい。
そこでラロシュは、セミノール族にランをとってこさせれば罪にならない、と考えたらしい。そこから事件がはじまるが、それを調べながら、著者は、蘭を手に入れるためには犯罪をも辞さないほどの蘭コレクターのマニャックの世界をのぞくことになる。そしてランをめぐって、フロリダの自然環境問題、民族問題までが絡みあってゆく。
この本に出ているが、数年前、東京で開かれた「世界らん展」で、ランの密輸事件が発覚し、スキャンダルとなったという。ランをめぐるマニアの輪は東京にも及んでいるらしい。 (bk1ブックナビゲーター:海野弘/評論家 2000.12.27)