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- カテゴリ:幼児 小学生
- 発行年月:2000.10
- 出版社: ポプラ社
- サイズ:25cm/32p
- 利用対象:幼児 小学生
- ISBN:4-591-06589-8
紙の本
にじいろのはな
著者 マイケル・グレイニエツ (さく),ほその あやこ (やく)
まだゆきがのこるのはらに、にじいろのはながさきました。にじいろのはなはやっとおひさまにあえて、うれしくてたまりません。このしあわせなきもちを、みんなにもわけてあげたいとお...
にじいろのはな
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商品説明
まだゆきがのこるのはらに、にじいろのはながさきました。にじいろのはなはやっとおひさまにあえて、うれしくてたまりません。このしあわせなきもちを、みんなにもわけてあげたいとおもいました。フレスコ画の描き下ろし絵本。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
マイケル・グレイニエツ
- 略歴
- 〈グレイニエツ〉1955年ポーランド生まれ。ヨーロッパでイラストレイターとして活躍し、85年アメリカに移住。作品に「ぼくのきかんしゃ」ほか。
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紙の本
珍しいフレスコ技法を使った大胆で色鮮やかな1冊。『お月さまってどんなあじ?』で日本絵本賞を取ったグレイニエツさんによるこのお話は、『幸福な王子』に似ている。
2002/04/13 23:56
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:中村びわ(JPIC読書アドバイザー) - この投稿者のレビュー一覧を見る
英国ヴィクトリア王朝期に書かれた童話の代表作である、オスカー・ワイルドの『幸福な王子』——このお話が好きだという人を私は信用する。日本の幼年文学の金字塔『目をさませトラゴロウ』を書かれた小沢正氏。博覧強記の読書家であるが、「好きなんですよねえ」と話しておられたことがある。ファッションジャーナリストのピーコ(おすぎとピーコのピーコ)氏が、週刊文春の<わたしが繰り返し読む三冊>という特集で、山本周五郎『小説 日本婦道記』、蒲松齢『聊斎志異』とともに、この童話を挙げていた。これは実に趣味の良い、うならせられるラインナップではないか!
『幸福な王子』の物語は、晩秋から初冬にかけて、にび色の空の下で展開されるイメージである。色鮮やかでインパクトが強く、一見対照的に見えるこの『にじいろのはな』はしかし、「わが身を削って」という意味で『幸福な王子』によく似通っている。ラストに用意されている「再生」への作家の願いもまた、同じ響きを持っていると私には感じられた。
にじいろの花は、橙、ピンク、紫、青、緑、黄色の6枚の花弁をもっている。「きょうはがんばって雪をぜんぶ溶かすぞ」と張り切って昇ってきたお日さまは、きのうまで雪だらけだった原っぱに、このカラフルな花を見つけて驚く。花の方でも、お日さまに会えた喜びを抑えきれない。このうれしさを世界じゅうに分けてあげたいと、お日さまに話しかける。
その言葉は、行動として実践される。にじいろの花は、水たまりを渡れず困っているアリに、橙の花びらを進呈する。アリは、それをボートにして漕ぐ。パーティーに行く服がないと訴えるトカゲには、緑の体に映えるピンクの花びらが与えられる。陽射しの強い日々がやって来て、汗をかきかきふらふらやって近づいてくるネズミには、うちわ用にと青い花びらをプレゼントする…。
このような調子で、5枚の花びらが幸福のおすそ分けとして動物たちの手に渡っていくのであるが、最後の1枚だけは、ちょっと悲しい失われ方をする。そして、すべての花びらを失った葉や茎がしおれて、静かな死が雪に覆われていくのだ。「ああ」と思っていると、雪のなかからまぶしい明るいにじいろの光が立つ。それを見た動物たちは、にじいろの花に助けてもらったことを思い出す。
この場面でお話を終わらせることだって可能だと思うが、最後の1ページ、後ろ扉に当たるところで、グレイニエツさんは次の春をも描いている。お日さまと花はまた出会えるのである。
理で説明してしまうと面白くなくなってしまうが、繰り返し再生していく夜明けや季節のめぐりなどと同様に、成長し続ける子どもには、この最後の1ページの大きな安心感がうれしい。
幸福を分けてもらったそれぞれの動物たちのうれしそうな様子は、文字のない画面、おまけに大胆なタッチのアップである。フレスコと言えば、教会の天井や壁に描かれる宗教画を思い出すが、自然を思わせる画材のタッチが、生きる喜びを正にたたえているような印象があった。
紙の本
力強い絵が踊り出してきそうな、カラフルな絵本
2002/04/14 10:45
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ぐりぐら - この投稿者のレビュー一覧を見る
“フレスコ”という画法をご存知でしょうか? 粉の絵の具を水で溶いて、しめった漆喰のうえから塗っていく画法だそうです。そのフレスコを駆使したこの絵本、は力強い線で躍動感あふれたエネルギーに満ちあふれています。
まだ雪の残る草原に真っ先に花を咲かせた、にじ色の花。このはなは雪解け水を渡れないアリのため、パーティーに着ていく服がないトカゲのためにはなびらを1枚ずつプレゼントしていきます。そうやって他の生き物に分け与えているうち、夏が過ぎ秋が終わる頃には、もう1枚だけしかはなびらは残っていませんでした。おしげもなくわが身をけずって与える無償の愛。親が子供に与えるかのように慈愛に満ちています。
自分のものを快く与える、というのは難しいことです。物々交換でもなく、見かえりを期待するのでもなく“与える”という行為が出来て初めて大人への一歩を踏み出せるのではないでしょうか?
最後に残った1枚のはなびらを、北風に飛ばされてしまったにじいろのはな。でも、はなびらをもらって助けてもらった動物たちの心の中に、いつまでも虹色の輝きが残っているのでした。読み終わった後、ほんのり暖かな虹色の光りに包まれた気分になれる本です。