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- カテゴリ:一般
- 発売日:2000/12/01
- 出版社: 秀英書房
- サイズ:20cm/552p
- 利用対象:一般
- ISBN:4-87957-136-9
紙の本
二人の小さな野蛮人 インディアンになって生活した二人の少年の冒険と、二人が学んだこと
自然と調和して生きるインディアンの英知を理想としたシートンが、その豊かな少年時代の体験をもとに、自らの手で発見し、創造しながら暮らす森の生活の喜びを描く。【「TRC MA...
二人の小さな野蛮人 インディアンになって生活した二人の少年の冒険と、二人が学んだこと
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商品説明
自然と調和して生きるインディアンの英知を理想としたシートンが、その豊かな少年時代の体験をもとに、自らの手で発見し、創造しながら暮らす森の生活の喜びを描く。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
アーネスト・T.シートン
- 略歴
- 〈シートン〉1860〜1946年。イギリス生まれ。アメリカの博物学者。詳細な自然観察をもとに、「私が知っている野生動物」をはじめ、数多くの動物物語の傑作を書く。
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紙の本
シートンの少年時代を描いた自伝的作品
2001/01/14 04:25
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:上原子正利 - この投稿者のレビュー一覧を見る
19世紀後半のカナダ。野生の生き物が大好きで、インディアンの暮しにあこがれる、気の小さい少年ヤン。頭の中は動物の事で一杯で、森の中で遊ぶ事に生きがいを感じ、いつも知識に飢えている。だが、ヤンの父親は「世間に甘く家族に厳しい」人物で、ヤンの森遊びに全く興味を持たず、それどころか許さない。母親は信仰に凝り固まっていて、ヤンに愛情を持っているのかも疑わしい。兄は人から注目され感心される事しか興味を持たない冷淡な人間で、弟は流行を追う事だけが生きがいの虚栄心と怠け癖の持ち主。ヤンはこんな家族との生活から抜け出したいと思いながらも、思いきった行動ができずにいる。しかし、14歳の時、転機が訪れる。開拓地の農場に住み込みで働く事になった彼は、そこで仲間を得、尊敬すべき年長者達と出会い、新しい生活を始める…。
本書は、『動物記』で知られるシートンが、その少年時代の経験を基に描いた自伝的作品。1903年発表。目次に「少年たちのためのアメリカのウッドクラフトの本」とあるように、本来対象としている読者は子供なのだろう(漢字には読みがなが振ってある)。しかし、大人が読んでも十分楽しめるはずだ。
本書の骨格は、気の小さかった少年が勇気の何たるかを理解するまでの成長と、それと絡みあう森での生活技術の獲得の過程とその詳しい記述にある。加えて、主人公が体験する、知識を得る事の困難さ、ゼロからモノを作り上げていく事の困難さにも注目すべきだろう(主人公は文明化される前のインディアンの生活を理想とするので、売りもののロープやクギを使う事すら良しとせず、代用品を自然の中から探し出さねばならない)。自らの手で何かを作り上げる苦労と喜び、観察対象と真剣に向かい合う姿勢、物事を学ぼうとする意思。古典とされるだけあって、手本となる点は多いが、説教じみた臭いは全く無い。
「わたしは、渇きの苦しみを知っているからこそ、みんなが飲める井戸を掘りたい」。序文にあるシートンの言葉での「渇き」とは知識に対するものだろう。多くの人に読まれた『シートン動物記』の著者にふさわしい、素晴しい言葉だと思う。100年前の「井戸」には、今でも水が湧いている。
(上原子 正利/北海道大学大学院工学研究科)