紙の本
世襲制度には無理がある。「三代目で駄目になる」
2007/10/29 23:29
9人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:MtVictory - この投稿者のレビュー一覧を見る
「貞観政要」は帝王学というより「リーダー学」の教科書。日本ではまず天皇が読み、北条、足利、徳川氏らが用いたと言われる。
唐王朝の二代目・太宗(李世民)は世界史における最も傑出した人物の一人とされるが、彼の死後、呉競という人が記したのが「貞観政要」である。太宗が治めた時代「貞観の治」は中国では理想的な統治が行なわれた時代の一つとして模範とされた(最初の遣唐使が行った時代)。
「貞観政要」は太宗を決して美化せず、欠点も多く、多くの過ちを犯した人として記している。太宗は自分の欠点を知り、魏徴、王珪といった諌臣の言葉を受け入れ、改めるべきことは改めたと言う。
「貞観政要」のテーマは「守文(維持)」の難しさである。そこには唐代289年間の維持の基本が書かれている。鎌倉幕府、徳川幕府もこれを学んだことで政権を維持できたのだろう。ところで織田信長はこれを読んだだろうか?彼は一種の創業者だから読んでいなかったかも知れないが、天下統一後の政権維持のことも少しは考えていたはずだ。私は一サラリーマンだが一国、一企業の維持の難しさをいくらか感じることが出来た。
著者が10章で書いているように本書は「貞観政要」の解説書でも研究書でもない。著者が一読者として興味を感じた部分、自戒の書として役立った部分などを抜粋し感想を付け加えた、と述べている。「貞観政要を傍らに置くことは遠慮なく厳しく注意してくれる人を傍らに置くようなもの」だとも言っている。二代目経営者などは企業の継続的発展を望むのであれば、諌言・直言・苦言を傍らに置くことは必要不可欠であろう。創業者も引退を意識する時期が来る前に後継者を定め、「貞観政要」のような帝王学を学ばせる必要がありそうだ。
近年グローバリゼーションが進み、ビジネス環境の変化のスピードの速さは企業の寿命を短くしているとも言われる。となると経営者は後継者の心配よりも株主が求める短期的な業績を目指さざるを得ないのかも知れない。
著者の視点で興味深かったのは、明治維新も一種の創業であり、その創業的発展が永久に続くような錯覚のまま日本は昭和初期に破綻した(太平洋戦争のことを指す)という点。戦後の復興・発展も一種の創業だと捉えられるが、「守文」を意識していないと同じ轍を踏むと警鐘を鳴らす。なるほど現在の我々はそういう時期にあるのだ。
また、「はしがき」や1章では民主主義の危うさも指摘している。大衆が権力を持つ時代であり、その自覚なき権力が最も恐ろしい、と。そしてそれは「人類史上最大の暴君」かも知れないと。民主主義が今のところベストな選択だが、それを生かすも殺すも「主」である「民」が明君にならなければならないということだ。なれると信じたい。
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「真のリーダーシップとは」
リーダーシップの壁に向かっている私にとって、今最も重要な本の一つです。
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大学を卒業する時に、手渡された記念の本。社会に出て、自己の価値観を形成していく上で、非常に参考になっています。
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唐の時代はやはり偉大な時代であった。太宗の政治哲学や力学、師弟の対話を含め、本当のリーダーは何をなすべきかを説いている。
永久に発展する国家や組織は、この原理で動いている!帝王学としては世界一の文献である。青年のリーダーは必ず読んでおくべきである。そして、歴史から何を学ぶか、人間学・史観はどのように会得するのか、ということをこの書籍より体得してもらいたい。
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名君で名高い唐の太宗(李世民)と、それを補佐した名臣たちの問答集をわかりやすく解説。お手ごろ価格で帝王学の入門にオススメ。
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中国の唐時代に太宗がいかにして貞観の治と呼ばれる治世を築いたかがよくわかる。
リーダー、権力者に属する人々のための箴言集となるだろう。
最も心に残った「十思」について以下に引用しておく。
1.「欲しいと思うものを見たら、足る事を知り自戒する事を思う」
2.「大事業をしようとする時は、止まる事を知り民の安楽を思う」
3.「高ころびしそうな危ない事を考える時は謙虚に自制する事を思う」
4.「満ち溢れるような状態になりたいと願望が起これば、満ち溢れる海はすべて川より低い事を思う」
5.「遊びたいと思う時は必ず限度をわきまえ、狩の時逃げ道を用意してやるのを限度とする事を思う」
6.「怠け心が起きそうな時には、始めを慎重にして終わりを慎む事を思う」
7.「自分の耳目を塞がれていると心配する時は、虚心、部下の言葉を聞く事を思う」
8.「中傷や讒言を恐れるなら、まず自ら身を正して悪を退ける事を思う」
9.「恩恵を与える時は喜びによって賞を誤る事が無いように思う」
10.「罰を与える時には、怒りにより重すぎる罰にならないように思う」
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【2008/01/11】
帝王学の中国古典「貞観政要」のエッセンスを紹介。タイトルは仰々しいが、現代の小さな組織にも多くあてはまる。 「貞観政要」とは、唐の二代目皇帝太宗(李世民)とそれを補佐した名臣との間の政治問答集。古くから帝王学の教科書として知られ、日本でも北条政子や徳川家康、明治天皇がこの本を読んでいたという。
・「創業と守成いずれが難きや」
「安きに居りて危なきを思う」ことがなければ「和によって亡ぶ」。
・人の見分け方
己の欲に生きる六邪(6大悪人)は組織のガンなので排除すべし。
権力のある人は、自分の欠点を批判してくれる人(諫議太夫)がいないと健全な判断が難しい。
・「十思」「九徳」
身につけるべき心構え。
・「実需」
虚栄心を捨て必要なものだけを欲すること。
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中国の古典「貞観政要」を紹介する本。2001年。著者は、孫子や論語などの中国古典を広く扱っている方であり、本書は「貞観政要」を踏まえて現在社会を考えるという切り口ではなく、あくまでも紹介することに注力している。時代は背景の違いはあるが、リーダーの在り方は常に変わらず、不正をしない、信頼するなど、当たり前のことの重要性を説く。中国古典に触れるときの難点は読みづらいことだが、本書もそれをみごとに再現している。ビジネスマンを対象にしているから良いのかもしれないが、もう少しわかりやすくならないものか。参考になる部分が多かったものの、読者の視点が欠けているように思えるため星3つ。
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ところどころおかしい事書いてるが、貞観政要の入門にはいいかもしれない。
私はビジネスの視点では本を読まないからそういう意味で得たものはない。
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人間偉くなったとき、どれだけ諫言を呈する人間を近くにおけるかでその人の器量もその後の生き方も変わってくる。生きていくことは戦いである。一瞬でも気を抜いたらお終いだ。
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山本七平という人を良く知らなかったのだが、「論語の読み方」という本を読み始めたら同じ作者だった。こういうところが面白いところです。「縁」というものですね。
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鎌倉時代から日本のリーダが勉強してきたいという「貞観政要」の入門書で、現在のリーダに対して解説したものである。
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本音は難しい・・・しかも深い
この本だけではマスターするのは無理だと思われます。
ざっくりとした、こんな感じのモノですよ〜
というくらいしか?な感じです。
前々からちょいちょい聞いた事のあるタイトルで
ネットワークビジネス@ネズミ講ですね
とかにも使われているみたいです。
この学問。結構有名で徳川家康や北条政子とかも
愛読というか帝王学に元づいた政治というか
に適応していたみたいです。
何で、結構有名で中国の学問。
モチベーションアップとかのためにねずみ講で
帝王学に基づいたというような表現を使い
会員活動を促すのに起用されたとか何とか。。。
まとめるとそんくらい有名ってこと。
面白い哲学的な本なので組織のリーダーな方
リーダーに将来なる方、なりたい方は極めると
※リーダーの定義は色々
社長、幹事、現場監督、会社役員…ETC
部下も付いてくるような現代の日本に欠けている
リーダー要素が豊富に含まれているんじゃないかと
思いました。
もうちょっと深いとこまで追って見たいと思ったのは
正直な所ですね。
俺はリーダーになるつもりはないけど♪
アドバイス、監視、手助け出来たらいいなと
思ってるくらい。
でも、時にリーダーにならなきゃいけない時も
あると思うので追いますよ〜。
真面目な文章になっちゃった。今からアキバへ→
GOレッツ 反対かww
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上司でも部下でもその立場にあった立ち居振る舞いがあります.
良き上司,良き部下になるために,読んでおくと良い書籍です.
私自身,数年に一度読み返して,自分の行動を振り返るために利用したいと思います.
ぜひ読んでもらいたい人がいるので,とりあえずあと数冊購入しようと思います.
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リーダーは一人にして成らず。
唐の開祖、太宗とその群臣との対話を記した書物、貞観政要。
徳川家康、北条正子など時の権力者が愛読し、その政治基盤を築く礎となったらしい。
本書は貞観政要の中から、筆者が心惹かれた箇所、論点となる箇所について言及したものである。
唐の成り立ちから後継者問題まで、太宗という人物の隆盛に沿って書物は進む。
その命題と成るのが、
・草創(創業)と守文(守成)といずれが難き
・多くの人の率直な意見に耳を傾けること
の2点かと思う。
前者のために、後者をいかに全うするか。
耳に痛い直言をどれだけ受け入れられるか、が人としての器だ。
太宗は皇帝の地位にあっても、自分の過ちを認め、それを指摘した部下を褒め称えた。
その姿勢は自身の威厳を損なうと思っている人もいるだろう。
だが、実際は逆で多くの人は矯正された太宗の政治に感服し、唐の繁栄を支える制度作りに一役をかった。
聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥