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商品説明
資料の徹底検証、米側資料との対象により、客観的・論理的に「カミカゼ」にまつわる誤謬と虚像に光をあて、写真や図版、表組データなどを多用して真実を追い求めたノンフィクション。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
金子 敏夫
- 略歴
- 〈金子敏夫〉1921年栃木県生まれ。海軍兵学校を経て土浦海軍航空隊で教官を務める。戦後、東京工業大学卒業。三菱電機等勤務を経て、現在、東京工科大学教授他を務める。著書に「数値制御」ほか。
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紙の本
第一神風特別攻撃の正確な記録
2001/03/19 10:19
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投稿者:青木謙知 - この投稿者のレビュー一覧を見る
今更いうまでもないが、特別攻撃とは敵を倒すための自爆攻撃である。今日の感覚では理解できない作戦ではあろうが、当時選ばれた隊員は国のためにと身を捧げた。この作戦は決して尊敬されるものではないが、非難されるべきはそれを立案し命令した司令部であり、尊い命を捧げた個々の隊員では決してない。また、その記録を正確に残すことが、彼らの行為に報いることになろう。
著者は、限られた現存する資料や、関係者への取材を進めるうちに、たとえば公文書自体に誤りがあることなどを発見する。いくつかの資料のクロス・チェックから、公文書とはいえども誤りは誤りとして、新しい真実を探り出した。隊員の役割が違っていたり、氏名が間違っていたりなどを多数訂正しており、またなぜ敷島隊が最初の特攻部隊として誤って記録され、今日まで語り継がれているのかなど、多くの真実を本書で明らかにしている。
これだけ詳細な調査に、かなりの労力を必要とすることは想像に難くない。このため本書は、第一神風特別攻撃隊に主に対象を絞っている。多角的なとらえ方で当時の戦況も詳しく述べ、さらには生存者の証言でも1章を設けている点も本書の価値を高めている。
それにしても、最初の特別攻撃の報告を受けた昭和天皇が、「かくまでやらねばならぬということは、まことに遺憾であるが、しかしよくやった」という叱責を込めた愛惜の言葉が、なぜ現地には「激励」の意味に変わって伝えられたのか? この軍部の勘違いが、その後の特攻競争を生んだのは間違いなく、物事を自分の都合の良いように解釈して悲劇を増大した悲惨な例といえよう。
また、『神風』は、『かみかぜ』と読まれることが多いが、正しくは『しんぷう』である。ワープロ・ソフトで『しんぷう』で変換できないものがあることが悲しい。
(青木謙知/航空・軍事評論家/2001.03.17.)