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紙の本
良質なファンタジー、そして人の生き方についての物語
2005/01/16 13:33
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:こう - この投稿者のレビュー一覧を見る
妖精を見る能力<セコンド・サイト>を持つ美前は、幼い頃から目立たぬよう、人と関わらぬようにして生きてきた。
しかし、静かな毎日を送っていた彼女の前に突然見知らぬ少年・リンが現れて「狙われている」 と告げる。その頃から再び出現し始めた数多くの妖精たち、続く無言電話……そして夢に現れる青年は、美前のことを「<女王>の<取替え子>」と呼んで<輝きの野>に戻るようにと告げるが…
現実生活に馴染めない主人公のもとに異世界からの迎えが訪れる、というのはいい加減使い古されたストーリーです。でもこのお話では主人公・美前の心情がとてもリアルに緻密に描写されていて、陳腐な設定という印象は受けませんでした。
自分が<取替え子>だということをなかなか信じられず、自分の頭がおかしいのではないかと疑ってみたり、なんとかこうとか<輝きの野>まで来てみても、そこは様々な陰謀と混乱の渦巻く世界で、美前はこれでもかこれでもかという位大変な目にばかり会う。そこでも美前は、いつも困難から逃げようとしたり、自分の行動を自分で決められずに状況に流されようとしたり。正直そういう美前の性格に前半は苛々させられたりもしました。でも自分のそういう性格を自覚して何度も“もう逃げない”と決意するのに、ついまた逃げそうになって自己嫌悪に陥って…というのは、とても現実味に溢れています。人間そうそう簡単に変われる訳ありませんからね。
また、下巻での舞台になる<輝きの野>はとても詩情豊かな世界で、その雰囲気だけでも楽しめます。世界の色彩や空気、そこに生きる人々がとても生き生きしているんです。美前を迎えに来た少年・リンや、<琴手>のターリ、<上王>のアェド、<丘の下の王>、美前との対に位置する<取り替え子>のマァハに、<女神>の現身である<女王>…とそれぞれ魅力たっぷりなので、誰かに感情移入することもできるし、純粋に世界の雰囲気に酔いしれることもできるでしょう。
それにしても、ここに出てくる女性たち−特に<輝きの野>の世界の女性たちはすごい。子宮をえぐり出されながらも笑って闘い続けるモルガヌや、戦場を足下に歌い踊るマァハ、人の魂を食らう<女王>…と、太古の混沌とした世界におけるグレート・マザーに通じるような、ぞっとする魅力がありました。
すべてから逃げてきた美前の成長物語でもあり、ケルト神話をベースにした良質なファンタジー作品でもあります。
紙の本
美前(みさき)の成長を見てください
2002/06/04 15:45
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ながつき - この投稿者のレビュー一覧を見る
主人公の美前は人と同じタイミングで笑えない、人の期待通りの答えが返せない、そんな気弱な女性だ。会社に行って仕事をして、という普通の生活が突然壊れてしまう。
登場人物は人間、妖精、そのどちらでもない者ととにかく多種多様だが、人物の描写がうまい。それに、現実世界とこの世でないところの説明がよくかけている。
話は下巻の「碧の聖所」に続くわけだが、「碧の聖所」では驚くべき展開が待っているので、期待して読んでほしい。