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- カテゴリ:一般
- 発行年月:2001.3
- 出版社: 講談社インターナショナル
- サイズ:31cm/181p
- 利用対象:一般
- ISBN:4-7700-2135-6
- 国内送料無料
紙の本
歌舞伎 Kabuki today The art and tradition
著者 大倉 舜二 (写真),上村 以和於 (文),カースティン・マカイヴァー (訳)
歌舞伎は生き続けている。よその国では、演劇は「人生の鏡」だと言われてきた。しかし歌舞伎は鏡と言うよりは、拡大鏡である。市川新之助、尾上菊之助をはじめ、歌舞伎の魅力を満載し...
歌舞伎 Kabuki today The art and tradition
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商品説明
歌舞伎は生き続けている。よその国では、演劇は「人生の鏡」だと言われてきた。しかし歌舞伎は鏡と言うよりは、拡大鏡である。市川新之助、尾上菊之助をはじめ、歌舞伎の魅力を満載した写真集。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
大倉 舜二
- 略歴
- 〈大倉〉1937年東京都生まれ。独協高校卒業。フリーランス写真家。ファッション写真、料理写真、ドキュメント、コマーシャル等幅広く活躍。著書に「松本幸四郎の俳遊俳談」「武蔵野」など。
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紙の本
ダイナミックで繊細な歌舞伎の多彩な魅力を幾多の“花形”たちの最も華麗で生き生きとした瞬間で捉えている
2001/05/14 15:17
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投稿者:高橋洋一 - この投稿者のレビュー一覧を見る
出雲の阿国(おくに)と呼ばれる伝承上の女性が京都の四条河原で「かぶき踊り」を舞い、歌舞伎の歴史が始まって以来四百年。江戸時代に入って、主に風紀上の理由から江戸幕府が歌舞伎の舞台に女優が出ることを禁じ、これに伴って、女の役は「女形」と称する男優が演じるようになり、そのことによって芸術性つまり虚構性をより深めることが出来、現在に至るまでの歌舞伎の独自の魅力を深めてきたのである。歌舞伎は、「歌」「舞」それに「伎」つまり演技という3つの要素を絡めた総合的な舞台芸術であり、その語源は「傾く(かぶく)」あるいは「傾き(かぶき)」という言葉に由来している。「傾く」とは、正統の枠にとどまらず、常に流動する心の在り方を指し、民衆演劇としての歌舞伎の根本的な性格を示しているといえよう。
大倉舜二の写真集「歌舞伎 Kabuki Today」は、このようにダイナミックにして繊細な、バロック的精神に貫かれてきた歌舞伎の「現在」に至るまでの多彩な魅力を、最近亡くなった戦後最大の名女形・中村歌右衛門や、坂東玉三郎の艶やかな舞台から、歌舞伎の新時代のスターである中村橋之助・片岡孝太郎を経て、最も若い世代の市川新之助・尾上菊之助・尾上辰之助らに至るまでの”花形”たちの艶姿を、それぞれの最も華麗で生き生きとした瞬間において捉えている。そこに見られるのは、日本の過去の舞台芸術を彩ってきた歌舞伎ではなくて、これから新たに発展し、開花していいこうとする新たな歌舞伎の伝統への予感であるといっても過言ではない。
歌舞伎において重要なのは、能など他の伝統芸能と同様に、芸の伝承ということである。例えば、菊之助は、1862年から尾上家に五代続く家芸である弁天小僧を立派に演じて見せたし、新之助の方も、2000年1月に22歳という若さで、市川家に287年伝わる重要な役である助六を鮮やかに演じきって、話題を呼んだ。これらの芸の伝承ぶりも、大倉氏のカメラワークによって、眼前に演技が展開しているかのような臨場感で、市川團十郎と新之助の「助六」、尾上菊五郎と尾上菊之助の「弁天小僧」が撮り分けられていて、興味深い。
また、花道は、歌舞伎の起源と共にあり、歌舞伎にとっては欠かすことの出来ない舞台の機構で、観客は、舞台に出入りする花形役者たち、あるいは脇役の役者たちの演技の「華」が自分たちのより身近かできらめき、炸裂する様を、花道の上で存分に楽しむことが出来るのである。
上村以和於(かみむら・いわお)による解説文を併せ読むことで歌舞伎の入門書としても楽しめる。序文はドナルド・キーン氏。解説文には英訳も付されている。 (bk1ブックナビゲーター:高橋洋一/評論家 2001.05.14)